机の上に回ってくる「回覧板」。その中身が「新年会のお知らせ」だとわかった瞬間、胃がキリキリするような感覚に襲われていませんか?
「行きたくないけれど、断ったら上司に目をつけられるかもしれない」「同僚との関係が悪くなるのが怖い」。
特に、異動したばかりの部署や、人間関係が固定化された公務員の職場では、たった一度の欠席が命取りになるのではと不安になるものです。
しかし、安心してください。時代は変わり、公務員の世界でも「賢い断り方」が存在します。
大切なのは、単に「NO」と言うのではなく、相手を尊重し、組織の和を乱さない作法で伝えることです。
本記事では、孤立無援の若手・中堅職員の皆さんが、職場で波風を立てずに新年会を欠席するための具体的なテクニックを解説します。
使える「言い訳」の選び方から、そのまま送れる「お断りメール」の例文、そして最も気まずい「翌朝の振る舞い方」まで。
会計実務の視点も交えつつ、あなたのメンタルと時間を守るための処世術を伝授します。この記事を読めば、もう飲み会の案内に怯える必要はありません。
新年会を欠席したい!公務員の「角が立たない」断り方とマナー
仕事始めの忙しさが落ち着く頃、回覧板やメールで回ってくるのが「新年会のお知らせ」です。
民間企業でも気の重いイベントかもしれませんが、独特の空気が漂う公務員の職場において、「欠席」の二文字を選ぶのは勇気がいることです。

「会計検査が怖い」「前例踏襲でなければならない」といったプレッシャーの中で日々業務にあたっている皆さんにとって、職場の人間関係にヒビが入ることは、業務上のリスクに直結すると感じるからでしょう。
この記事では、そんな悩める公務員の皆さんに向け、職場の空気を乱さず、かつ自分の時間を守るための「新年会の断り方」を解説します。単なるマナー論だけでなく、公務員の職場環境に特化した、実践的なメール文面や対処法をお伝えします。
公務員の新年会は「強制」なのか?
まず整理しておきたいのが、新年会への参加は業務命令なのか、それとも任意の私的な活動なのかという点です。
建前は「任意参加」だが……
地方公務員法や国家公務員法、あるいは各自治体の服務規程において、業務時間外の親睦会への参加を義務付ける条文は存在しません。もし、上司が「全員参加が義務だ」「欠席は認めない」と強要し、不参加を理由に人事評価を下げるようなことがあれば、それはパワーハラスメントに該当する可能性があります。
したがって、法的な建前としては「完全に任意」です。行きたくなければ断る権利が、あなたにはあります。
「和」を重んじる公務員職場の現実
しかし、実務の現場はそう単純ではありません。公務員の仕事は、個人の成果よりも組織の連携、そして何よりも「間違いのない処理」が求められます。そのため、日頃のコミュニケーションを円滑にする場としての飲み会が、業務の延長線上の意味合いを帯びることがあります。
特に、異動が頻繁にある公務員の世界では、歓送迎会や新年会が「顔つなぎ」の重要な儀式と捉えられている側面も否定できません。
「行かなくても法的には問題ないが、行かないと『付き合いの悪いやつ』とレッテルを貼られ、仕事が頼みにくくなるかもしれない」。この不安こそが、皆さんが欠席を迷う最大の理由ではないでしょうか。
絶対に角が立たない「欠席理由」の選び方
欠席を決めた場合、次に考えるべきは「理由」です。正直に「行きたくないから」と言うわけにはいきません。かといって、嘘が見え透いてしまうのも危険です。
公務員の職場でも納得されやすく、かつ追及されにくい「鉄板」の理由を紹介します。
家庭の事情(育児・介護・パートナーの予定)
最強の理由は「家庭」です。近年、働き方改革やワークライフバランスの推進により、管理職世代も「家庭の事情」には強く出られなくなっています。
「子供の習い事の送迎がありまして」
「妻(夫)がその日は外せない用事があり、私が子供を見なければなりません」
「実家の親の様子を見に行くことになっておりまして」
これらは、プライバシーに関わるため、深く詮索されることもありません。「それは仕方ないね」と即座に受理されるでしょう。独身の方でも、「実家の用事」「親戚の集まり」などは有効です。
健康上の理由・体調管理
次に有効なのが「健康」です。特に感染症対策を経て、体調不良をおしてまで参加させる風潮は完全に消えつつあります。
「最近、胃腸の調子が優れず、アルコールを控えております」
「医師から生活習慣の改善を指導されておりまして」
「翌日に人間ドック(または健康診断)を控えておりまして」
具体的な病名や数値を出す必要はありません。「医師」「検診」というキーワードは、健康管理を重視する公務員職場では非常に説得力を持ちます。
先約・外せない用事
嘘をつきたくない誠実な方におすすめなのが、シンプルに「先約」を理由にすることです。
「あいにく、その日は先約が入っておりまして」
「遠方の友人が出てくる予定になっており」
ただし、「何の用事?」と聞いてくるデリカシーのない上司がいる可能性もゼロではありません。その場合は、「学生時代の恩師との集まり」や「結婚式の準備の手伝い」など、職場とは関係のない、かつキャンセルしにくい用事を用意しておくと安心です。
資格試験・自己研鑽(諸刃の剣)
若手職員の場合、「勉強」を理由にするのも一つの手です。
「来月の資格試験に向けて、追い込みの時期ですので」
「通信課程の課題提出日が近く、時間を確保したく」
これは「真面目だ」と評価される場合と、「付き合いより自分のことか」と反感を買う場合の二パターンがあります。職場の雰囲気や、上司が勉強熱心なタイプかどうかを見極めて使う必要があります。
【コピペOK】状況別・断りのメール文面
公務員の職場では、口頭で伝えるだけでなく、証跡を残す意味でも、あるいは形式を重んじる意味でも、メールでの連絡が好まれる場合があります。また、グループウェア上の出欠確認ボタンを押すだけでなく、幹事や上司に一言添えるのが「できる職員」の処世術です。
ここでは、そのまま使えるメールの例文を紹介します。
パターンA:上司への丁寧な欠席連絡
件名:【欠席のご連絡】〇〇課新年会について(氏名)
〇〇課長
(または幹事の〇〇様)
お疲れ様です。〇〇(氏名)です。
この度は、新年会にお誘いいただき、ありがとうございます。
皆さんと親睦を深められる貴重な機会ですので、
ぜひ参加させていただきたいと考えておりました。
しかしながら、当日は家庭の事情により(※具体的な理由に書き換え可)、
どうしても都合がつかず、今回は欠席させていただきたく存じます。
せっかく調整していただいたにも関わらず、
ご期待に沿えず大変申し訳ございません。
翌日の業務に支障が出ないよう、しっかりと準備してまいります。
皆様で楽しい時間をお過ごしください。
何卒よろしくお願い申し上げます。
所属:〇〇部〇〇課 氏名:〇〇 〇〇
パターンB:理由はあいまいにしたい場合
件名:新年会の出欠について(氏名)
幹事 〇〇様
お疲れ様です。〇〇です。
新年会の幹事、とりまとめありがとうございます。
大変残念なのですが、当日はあいにく先約が入っており、
参加することができません。
スケジュールを調整しようと試みたのですが、
どうしても変更が難しく、今回は辞退させていただきます。
お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
次回、また別の機会がございましたら、
その際はぜひ参加させていただきたく存じます。
氏名:〇〇 〇〇
ポイント:クッション言葉を活用する
公務員の文書実務でも馴染み深い「クッション言葉」を、断りのメールでも多用しましょう。
「大変申し上げにくいのですが」
「誠に心苦しいのですが」
「せっかくのお誘いですが」
これらを挟むだけで、文章の角が取れ、「行きたくないわけではないが、やむを得ず」というニュアンスを演出できます。
会計担当者が教える「キャンセル料」と「会費」のリアル
さて、ここからは少し実務的な、お金の話をしましょう。公務員の飲み会において、切っても切り離せないのが「会費」と「キャンセル料」の問題です。
公務員の飲み会は基本的に「自腹」
民間企業であれば、新年会の費用が「交際費」や「福利厚生費」として経費で落ちることもあるでしょう。しかし、公務員の場合、内部の飲み会に公費(税金)が投入されることはまずありません。
すべて参加者の「ポケットマネー」で賄われます。
これを会計用語風に言えば、予算措置のない「私費負担」です。
ドタキャンは幹事を追い詰める
もし、あなたが当日に体調不良などで急遽欠席することになった場合、予約していたコース料理の代金はどうなるでしょうか。
お店側の規定によりますが、当日の人数変更は「キャンセル料100%」であることがほとんどです。
このとき、あなたが「行ってないから払わない」と主張すると、誰が困るか。それは幹事です。公費の裏付けがない以上、不足分は幹事が自腹で補填するか、参加者全員から数百円ずつ追加徴収するしかなくなります。
これは、職場での信用を失う最悪のパターンです。
スマートなキャンセル料の支払い方
もし直前に欠席することになった場合は、自分から先に「会費はどうすればいいですか? 全額お支払いします」と申し出るのがマナーです。
前日までのキャンセル: お店がキャンセル料を取らない場合でも、幹事に確認。「迷惑をかけた」という意思表示は必要です。
当日のキャンセル: 基本的に全額支払う覚悟で。「後日、デスクにお持ちします」と伝えましょう。
幹事は、若手職員が持ち回りで担当していることが多いはずです。同じ立場の同僚を困らせない配慮こそが、長く公務員生活を続けるための最大の武器になります。
また、新年会を欠席する場合は、会費相当額を寄付することをおすすめします。寄付は幹事さんにも喜ばれますし、参加者からもお礼を言われることがあります。
幹事(同僚)への配慮が、あなたの評価を守る
「新年会に行きたくない」と思うとき、私たちはつい「上司の顔色」ばかりを気にしがちです。しかし、実際にその会を運営し、出欠を取りまとめているのは、あなたと近い年次の同僚や後輩である可能性が高いです。
回答は期限よりも早く
断る際のマナーとして最も重要なのは、「期限ギリギリまで粘らない」ことです。
「行きたくないなぁ、どうしようかなぁ」と悩んで回答を先延ばしにすると、幹事は人数の確定ができず、店との交渉も進められません。
欠席すると決めたなら、案内が来たその日、あるいは翌日には「欠席」の回答をしましょう。早い回答は、幹事にとって何よりの親切です。
「幹事ご苦労様」の一言を添える
メールや口頭で欠席を伝える際、「幹事大変だと思うけど、ありがとう」「お店選び、お疲れ様」といった労いの言葉を一つ添えてください。
あなたの評価は、上司だけでなく、こうした同僚からの評判によっても形成されます。「あいつは付き合いは悪いけど、気遣いはできる」と思わせれば、職場での居心地は悪くなりません。
新年会翌日の「朝の振る舞い」がすべてを決める
欠席した場合、最も気まずいのが「翌日の朝」です。
職場のあちこちで「昨日は楽しかったですね」「部長のあの話が~」といった話題が出ている中、どう振る舞えばよいのでしょうか。
自分から明るく挨拶する
気まずいからといって、うつむいて席に着くのはNGです。「自分は仲間はずれだ」というオーラを出すと、周囲も話しかけづらくなります。
いつも以上に明るく、「おはようございます!」と挨拶しましょう。
「昨日は盛り上がったようですね」と水を向ける
もし、隣の席の同僚や上司と話す機会があれば、自分から話題を振るのが高度なテクニックです。
「昨日は欠席して申し訳ありませんでした。盛り上がったそうですね」
「〇〇さんが面白い話をされたと聞きましたよ」
このように、「その場にはいなかったけれど、皆さんが楽しんだことを嬉しく思う」というスタンスを示します。これにより、「無関心なわけではない」ことが伝わり、職場の輪にスムーズに戻ることができます。
深入りはしない
ただし、無理に話を聞きすぎる必要はありません。あくまで挨拶程度の会話に留め、すぐに業務モードに切り替えましょう。
「さて、昨日の続きの書類作成にかかります」と宣言してしまえば、周囲も仕事の話にシフトせざるを得ません。公務員の職場は、一度業務が始まれば私語を慎む規律があるはずです。その規律を味方につけましょう。
まとめ:飲み会を断っても、仕事はできる
公務員の世界も、少しずつですが確実に変わってきています。かつてのような「飲みニケーション」至上主義は薄れ、個人のライフスタイルやワークライフバランスが尊重される時代になりました。
大切なのは、「新年会を断ること」そのものではなく、「断り方」と「その後のフォロー」です。
理由は「家庭」や「健康」など、反論できないものを選ぶ。
連絡はメールを活用し、丁寧かつ迅速に行う。
幹事(同僚)への配慮を忘れない。欠席の場合は会費相当額を寄付する。
翌日は明るく振る舞い、すぐに業務に集中する。
これらを守れば、飲み会を欠席した程度であなたの評価が地に落ちることはありません。
むしろ、自分の軸を持ちながらも周囲への配慮ができる職員として、信頼を得ることさえ可能です。
気の重い新年会の案内が届いても、動じることはありません。この記事で紹介した方法を使って、スマートに、そして角を立てずに断り、あなた自身の有意義な時間を確保してください。
無理をして心をすり減らすよりも、万全の状態で日々の業務に向き合うこと。それこそが、本来あるべき公務員の姿なのですから。


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