御用始めの歴史と由来|なぜ1月4日?明治の太政官布告と法的根拠を解説

スポンサーリンク
御用始めの歴史 その他
御用始めの歴史
記事内に広告が含まれています。

新年を迎え、官公庁が業務を開始する「御用始め」。多くの役所では1月4日がその日に当たりますが、なぜこの日付なのか、その由来を詳しくご存知でしょうか?実は、この慣習には明治時代からの長い歴史と、明確な法律上の根拠が存在します。

本記事では、官公庁の会計実務や契約手続きに詳しい筆者が、実務担当者の視点から「御用始め」の歴史を紐解きます。明治6年の太政官布告から現在の「行政機関の休日に関する法律」に至るまでの変遷、そして「仕事始め」との呼び方の違いについて解説します。

さらに、官公庁ビジネスに携わる営業担当者が知っておくべき、年始の挨拶回りのマナーや、1月4日の庁内の雰囲気についても触れています。年度末の繁忙期を控えたこの時期、公務員の方も民間の方も、知っておくと少し役立つ「役所の暦(こよみ)」の知識をお届けします。

スポンサーリンク

御用始めとは?言葉の定義と由来

年末年始の休暇が明け、官公庁がその年の最初の業務を開始することを「御用始め(ごようはじめ)」と呼びます。

一般的に民間企業では「仕事始め」と言いますが、なぜ官公庁では「御用」という言葉を使うのでしょうか。また、なぜ多くの官公庁で1月4日がその日になるのでしょうか。まずは言葉の定義と、日付が決まった背景から解説します。

御用始めの歴史
御用始めの歴史

官公庁と民間企業での呼び方の違い

「御用(ごよう)」という言葉は、江戸時代から使われている言葉で、宮中や幕府などの「お上の公務」を指す言葉でした。「御用だ!」という時代劇のセリフも、公務執行中であることを意味しています。

明治時代以降も、役所の仕事は「公務=御用」であることから、その年の最初の業務を「御用始め」、最後の業務を「御用納め」と呼ぶ慣習が定着しました。

一方、民間企業では「仕事始め」「仕事納め」と呼ぶのが一般的です。近年では、官公庁であっても「御用」という言葉の響きが時代にそぐわない、あるいは市民に対して威圧的な印象を与えかねないとして、自治体などでは「仕事始め」と言い換えるケースも増えています。

なぜ1月4日なのか?

多くの官公庁で1月4日が御用始めとなる理由は、法律で休日が定められているからです。後述する「行政機関の休日に関する法律」により、12月29日から1月3日までは休日とされています。

したがって、カレンダー通りの勤務であれば、その翌日である1月4日が最初の開庁日となります。ただし、1月4日が土曜日や日曜日に当たる場合は、直後の月曜日が御用始めとなります。

民間企業、特に金融機関なども銀行法などで12月31日から1月3日までを休日としていることが多いため、1月4日を仕事始めとするケースが一般的ですが、サービス業や流通業などでは元日から営業することも珍しくありません。この点が、法律で一律に決まっている官公庁との大きな違いです。

スポンサーリンク

御用始めの歴史は明治時代から

官公庁の年末年始の休みが現在のように定着したのは、明治時代初期の太政官布告(だじょうかんふこく)に遡ります。日本の暦(こよみ)が大きく変わった激動の時代の名残なのです。

明治6年の太政官布告第2号

御用始めの歴史を紐解くと、1873年(明治6年)に行き着きます。この年の1月、**明治6年太政官布告第2号「休暇日ヲ定ム」**が発令されました。

この布告により、以下の日が官公庁の休暇として定められました。

  • 1月1日から1月3日まで
  • 6月28日から6月30日まで
  • 12月29日から12月31日まで

これを見ると、現在の年末年始の休みの原型(12月29日~1月3日)が含まれていることがわかります。当時はこれに加え、夏(6月末)にも定例の休暇が設けられていました。

この布告が出る以前、江戸時代から明治初期にかけては「一六の休日(いちろくのきゅうじつ)」といって、日付に1と6のつく日(1日、6日、11日、16日、21日、26日)を休みとする慣習がありました。しかし、欧米諸国との外交や貿易が増える中で、日曜日を休日とする「太陽暦(グレゴリオ暦)」に合わせる必要が生じ、休暇制度も抜本的に見直されたのです。

旧暦から新暦への転換点

明治6年という年は、日本が旧暦(太陰太陽暦)から新暦(太陽暦)へ切り替わった直後のタイミングです。

明治5年12月2日が、翌日いきなり明治6年1月1日になるという、歴史的な改暦が行われました。この混乱の中で、役人の勤務体系も近代化が図られました。それまで不定期的だった年末年始の休みを、法令によって明確に「1月3日まで休み」と定めたことで、必然的に「1月4日が仕事始め」というサイクルが官公庁に定着することになったのです。

その後、夏の休暇(6月28日~30日)はなくなりましたが、年末年始の休暇期間については、現代に至るまで明治時代の枠組みが色濃く残っています。

スポンサーリンク

現在の法的根拠「行政機関の休日に関する法律」

現在、国家公務員の休日を定めているのは、**「行政機関の休日に関する法律(昭和63年法律第91号)」**です。

官公庁の契約実務や会計実務に携わる方であれば、法令に基づく事務処理の重要性は身に染みていらっしゃると思います。私たちの休みもまた、なんとなく決まっているのではなく、厳格な法的根拠に基づいているのです。

12月29日から1月3日までの6連休

同法第1条第1項第3号には、行政機関の休日として以下のように明記されています。

十二月二十九日から翌年の一月三日までの日

これにより、国の機関は法律上、この期間は執務を行わないことになっています。この期間の前日である12月28日が「御用納め」、休日の翌日である1月4日が「御用始め」となる法的根拠はここにあります。

なお、この期間中に土曜日や日曜日が含まれていても、振替休日のように休みが延長されることはありません。あくまで「12月29日から1月3日」という日付で区切られています。そのため、年によっては年末年始休暇が短く感じたり、土日とうまくつながって大型連休になったりするのです。

地方公務員の休日と条例

都道府県や市町村などの地方自治体については、**「地方自治法」に基づき、各自治体の「条例」**で休日を定めています。

とはいえ、ほとんどの自治体の「職員の勤務時間、休日及び休暇に関する条例」などは、国の法律に準拠して作成されています。そのため、全国の市役所や県庁でも、国と同様に12月29日から1月3日を閉庁日としているところが大半です。

ただし、市民サービス向上の観点から、一部の窓口業務については条例の特例や規則で定めて、年末年始も稼働させたり、1月4日より前から開庁したりする自治体も現れています。

スポンサーリンク

官公庁ビジネスにおける注意点

官公庁で働く職員の方や、官公庁へ営業に行く民間企業の方にとって、御用始めの日は独特の空気感があります。通常の営業日とは異なるマナーや注意点を押さえておきましょう。

1月4日のアポイントメントは避けるべき理由

営業担当者にとって、1月4日にアポイントメントを入れるのは避けたほうが無難です。

御用始めの日の午前中は、多くの官公庁で「仕事始め式」や、組織の長(大臣、知事、市町村長、部局長など)による訓示が行われます。職員は講堂や会議室に集められ、あるいは庁内放送で新年の挨拶を聞くことになります。

また、式典が終わった後も、職員同士での新年の挨拶回りや、議員・関係団体への対応、休暇中に溜まった決裁書類の処理などで、庁内は非常に慌ただしい雰囲気になります。

実務的な契約の打ち合わせや、込み入った相談などを持ちかけると、「空気が読めない」と思われてしまう可能性があります。どうしても急ぎの案件でない限り、実質的な業務連絡は1月4日の午後、あるいは1月5日以降にするのがビジネスマナーとして賢明です。

挨拶回りのマナーとタイミング

官公庁を取引先とする場合、新年の挨拶回りは重要な儀礼の一つです。

しかし、近年では虚礼廃止の観点から、対面での名刺交換や挨拶回りを辞退する官公庁も増えています。特に、入札を控えている時期や、契約担当部署においては、業者との接触に厳格なルール(接触記録の作成義務など)を設けている場合もあります。

かつては「御用始めの日は、挨拶に来た業者の名刺で受付の箱がいっぱいになる」という光景も見られましたが、現在はセキュリティ強化で庁舎への立ち入りも厳しくなっています。

無理にアポなしで訪問して担当者を呼び出すことは避け、事前にメール等で新年の挨拶を送りつつ、訪問の可否や適切なタイミングを確認するのが、現代の官公庁ビジネスにおけるスマートな対応と言えるでしょう。

スポンサーリンク

御用始めにまつわる雑学

最後に、話のネタになるような御用始めに関する雑学をいくつか紹介します。

裁判所や国会の御用始め

一般の行政機関だけでなく、司法や立法機関にも御用始めがあります。

裁判所においても、「裁判所の休日に関する法律」により、行政機関と同様に12月29日から1月3日までが休日と定められています。したがって、裁判の期日などがこの期間に入れられることは原則としてありません。

国会については、通常国会(常会)の召集時期が1月中に設定されることが多いですが、国会職員の勤務についても「国会職員の勤務時間、休暇等に関する法律」で同様の休日が定められています。

廃止されつつある「仕事始め式」

長年続いてきた「仕事始め式(御用始め式)」ですが、近年、これを見直す動きが加速しています。

働き方改革の一環として、職員に年末年始の休暇取得を推奨するためや、儀式的な行事に時間を割くよりも通常業務を優先すべきという考えからです。首長が訓示を行う際も、職員をホールに集めるのではなく、動画配信や庁内イントラネットを活用して、各自のデスクで見られるようにする自治体が増えています。

「御用始め」という言葉の響きが持つ厳格なイメージとは裏腹に、その実態はデジタル化や効率化の波を受けて、年々変化しているのです。

スポンサーリンク

まとめ

御用始めの歴史は明治6年の太政官布告に始まり、太陽暦の導入とともに1月4日が仕事始めとして定着しました。現在は「行政機関の休日に関する法律」という明確な法的根拠に基づき運用されています。

官公庁の実務に携わる皆さんにとって、この時期は年度末に向けた繁忙期(第4四半期)のスタート地点でもあります。歴史的な背景や法的な根拠を知ることで、毎年繰り返される恒例行事も、少し違った視点で見ることができるのではないでしょうか。

契約担当者も営業担当者も、御用始め独特の多忙さやマナーを理解し、円滑なコミュニケーションで新しい1年の業務をスタートさせましょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました