公共工事において、かつて慣習的に行われていた「歩切り(ぶぎり)」は、適正な積算に基づく設計書金額から根拠なく一部を削減して予定価格を設定する行為です。発注者の財政健全化やコスト削減を目的に実施されていましたが、工事品質の低下やダンピング受注の助長、建設業界の人材確保への悪影響など、多くの問題を引き起こしていました。
そのため、2015年の「公共工事の品質確保の促進に関する法律(品確法)」改正により、歩切りは違法とされ、全国の地方自治体でも廃止されました。
本記事では、「歩切り」の具体的な手法や廃止の経緯、廃止後の影響を詳しく解説するとともに、適正な予定価格の設定方法についても紹介します。歩切り廃止がもたらした変化を理解し、今後の公共工事の在り方について考えていきましょう。
歩切りが禁止された理由とは?
歩切りとは何か
「歩切り」とは、公共工事の発注者が、適正な積算に基づいて算出された設計書金額から、根拠なく一部を差し引いて予定価格を設定する行為を指します。例えば、設計書で1,000万円と算出された工事費を、慣例や予算の都合で900万円に減額して予定価格とするようなケースです。このような行為は、公共工事の品質確保の促進に関する法律(品確法)第7条第1項第1号に違反するものとされています。
公共工事の品質確保の促進に関する法律
第七条 発注者は、(略)公共工事の品質が確保されるよう、(略)仕様書及び設計書の作成、予定価格の作成、(略)を、次に定めるところによる等適切に実施しなければならない。
一 公共工事等を実施する者が、(略)適正な利潤を確保することができるよう、(略)市場における労務及び資材等の取引価格、健康保険法等の定めるところにより事業主が納付義務を負う保険料(略)、公共工事等の実施の実態等を的確に反映した積算を行うことにより、予定価格を適正に定めること。
歩切りが行われていた背景
歩切りが行われていた主な理由として、以下の点が挙げられます。
慣例によるもの:長年の慣習として、設計書金額から一定割合を減額することが定着していた。
自治体財政の健全化:予算削減や財政健全化のため、工事費を抑制する目的で減額が行われていた。
追加工事への備え:予算の一部を留保し、追加工事が発生した際に対応できるようにするため、初めから予定価格を低く設定していた。
歩切りが禁止された理由
歩切りは、以下のような問題を引き起こす可能性があるため、禁止されています。
公共工事の品質や安全性の低下:予定価格が不当に引き下げられることで、受注者がコスト削減を余儀なくされ、結果として工事の品質や安全性が損なわれる恐れがあります。
ダンピング受注の助長:適正な価格設定がされないことで、過度な低価格での受注(ダンピング)が横行し、公正な競争が阻害される可能性があります。
担い手の育成・確保への悪影響:適正な利潤が確保できない状況が続くと、建設業界の人材育成や確保に支障をきたし、将来的な技術者不足を招く恐れがあります。
歩切り廃止後の影響と現状
品確法の改正により、歩切りは明確に違法とされ、各地方公共団体でもその廃止に向けた取り組みが進められています。例えば、国土交通省は総務省と連携し、地方公共団体に対して実態調査や見直しの要請を行いました。
適正な予定価格設定のためのポイント
歩切りを廃止し、適正な予定価格を設定するためには、以下の点が重要です。
市場実勢の反映:労務費や資材費など、最新の市場価格を積算に反映させること。
透明性・公正性の確保:積算や価格設定のプロセスを明確にし、関係者に対して説明責任を果たすこと。
適切な積算手法の導入:信頼性の高いデータや手法を用いて、正確な工事費を算出すること。
これらの取り組みにより、公共工事の品質と安全性を確保し、建設業界の健全な発展と持続可能な社会資本の整備が期待されます。
歩切りとは?過去に行われていた手法と禁止された理由
歩切りの正式な定義とは?わかりやすく解説!
「歩切り(ぶぎり)」とは、公共工事の発注者が、適正な積算によって算出された設計書金額から根拠なく一部を控除し、予定価格を低く設定する行為のことです。一部の国や地方自治体などで長年行われてきた慣習であり、工事のコスト削減を目的に取り入れられていました。しかし、適正な積算に基づかない価格設定は、工事品質の低下や建設業界全体の健全な発展を阻害する要因となるため、現在では法的に禁止されています。
公共工事では、工事の適正な価格を算定するために「設計書金額」というものを作成します。この設計書金額は、工事に必要な資材費、人件費、間接費などを考慮した適正な価格であり、本来はそのまま予定価格として設定されるべきものです。しかし、「歩切り」によって、発注者の裁量で一律に5%~10%程度を削減し、予定価格を低く抑えることが行われていました。これにより、発注者側はコスト削減を図ることができましたが、一方で受注業者に過度な負担を強いることとなり、結果的に工事品質の低下を招く原因となったのです。
過去に行われていた歩切りの手法とは?具体例を紹介!
歩切りが行われていた際の主な手法は、以下のようなものがありました。
慣例的な減額方式
長年の慣習として、公共工事の予定価格を決定する際に、設計書金額から一律5%~10%を自動的に削減する方法です。この手法では、具体的な根拠や市場価格の動向に関わらず、発注機関の裁量で「毎回決まった割合」を削る形で予定価格が決定されていました。
例えば、設計書金額が1億円の工事に対し、10%の歩切りを行い、9000万円を予定価格として設定するケースが該当します。この方法は「財政健全化」や「コスト削減」の名目で行われることが多かったのですが、現場での適正な施工を妨げる要因となり、施工業者に過度な負担を強いる結果となりました。
予算制約に応じた恣意的な減額
地方自治体の財政状況によっては、公共工事の予算が厳しく制限されることがあります。そのため、発注者が予算に合わせる形で設計書金額を調整する手法が取られていました。
例えば、本来1億5000万円必要な工事があった場合、自治体の予算が1億2000万円しか確保されていなければ、設計書金額から3000万円を歩切りして予定価格を設定するというケースです。このような形での歩切りは、発注者の財政都合によるものであり、適正な価格での工事発注を妨げる要因となっていました。
端数処理による過剰な減額
見積もりの際に、端数を処理するという名目で設計書金額を切り捨てる方法もありました。本来であれば、端数処理は数千円単位の微調整にとどまるべきですが、過去には数百万円規模で端数が「調整」されることもあったのです。
例えば、設計書金額が10億1500万円の工事に対し、端数処理として1500万円を削り、10億円にして発注するというケースがありました。この手法は、一見合理的に見えるものの、設計段階で必要とされた金額が確保されないため、施工業者はその差額を吸収するために経費を削る必要があり、結果的に工事の品質低下を招く原因となっていました。
歩切りがなぜ問題視されたのか?
歩切りは、一部の自治体や公共機関で長年にわたり慣習的に行われてきましたが、その影響として以下のような問題が生じていました。
工事の品質低下
設計書金額には、適正な施工を行うために必要なコストが含まれています。歩切りによって削減された金額分、施工業者はコストを抑えるために工事の簡略化を余儀なくされ、結果として工事品質の低下を招くケースが多発しました。
ダンピング受注の助長
予定価格が低く抑えられることで、入札時に業者が無理な低価格での受注を行うことが増加しました。これは「ダンピング受注」と呼ばれ、利益を削ってでも仕事を確保しようとする業者が増えることで、業界全体の経営環境が悪化する原因となりました。
建設業界の人手不足を加速
歩切りによる過度なコスト削減は、施工業者の利益を圧迫し、十分な賃金を支払うことが難しくなるため、結果的に技術者や作業員の確保が難しくなりました。これは建設業界全体の人手不足を加速させる大きな要因となりました。
違法行為として問題視されるようになった
2015年の「公共工事の品質確保の促進に関する法律(品確法)」の改正により、歩切りは違法行為として明確に禁止されました。これにより、発注者は適正な積算に基づいた予定価格を設定することが義務付けられ、現在では歩切りを行うことはできません。
建設業法
(不当に低い請負代金の禁止)
第十九条の三 注文者は、自己の取引上の地位を不当に利用して、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする請負契約を締結してはならない。
歩切り廃止の意義と今後の課題
現在、歩切りは法的に禁止されており、発注者は適正な価格設定を行うことが求められています。しかし、一部では「表面上は廃止されているが、実質的には価格調整が行われている」という指摘もあります。そのため、適正な積算を維持しつつ、透明性のある価格設定を行うことが今後の課題となります。
また、発注者だけでなく、施工業者側も適正な価格での受注を行うことが求められています。無理な値引き競争を避け、品質を維持しながら適正な利益を確保することが、今後の建設業界の健全な発展に繋がるでしょう。
このように、歩切りの歴史を振り返ることで、公共工事の適正な運営に向けた改善点が見えてきます。今後も、発注者・受注者双方が適切な対応を取ることで、より透明性の高い公共工事が実現されることが期待されます。
歩切りが禁止された理由とは?公共工事の品質と建設業界の未来を守るための背景
歩切りが禁止された理由とは?
「歩切り(ぶぎり)」とは、公共工事の発注者が適正な積算に基づく設計書金額から、根拠なく一定の割合を削減して予定価格を設定する行為のことです。長年、国や地方自治体の一部で慣習的に行われてきましたが、その影響が深刻であったため、現在では法的に禁止されています。
2015年に改正された「公共工事の品質確保の促進に関する法律(品確法)」では、「予定価格は、市場価格や実際の施工コストを適切に反映させた上で決定しなければならない」と定められ、歩切りの廃止が義務付けられました。しかし、なぜ歩切りが問題視され、禁止されるに至ったのでしょうか?その主な理由を詳しく解説します。
公共工事の品質低下の懸念
適正な工事ができなくなるリスク
歩切りによって予定価格が適正な水準よりも低く設定されると、受注した企業は利益を確保するためにコスト削減を余儀なくされます。コスト削減の方法としては以下のような問題が発生します。
人件費の削減
建設現場では高い技術を持つ作業員が必要ですが、予算が削られることで人件費を抑えざるを得ません。その結果、経験の浅い作業員を雇うケースが増え、工事の品質低下につながります。
材料費の削減
予定価格が低いと、高品質な材料を調達するのが難しくなり、安価な代替品が使われることがあります。これは、道路の舗装が早期に劣化したり、建物の耐久性が低下したりする原因になります。
手抜き工事の発生
工期を短縮し、施工プロセスを省くことでコストを削減しようとする動きもあります。例えば、十分な養生期間を取らずにコンクリートを流し込むことで、強度不足が生じる可能性があります。
これらの問題が積み重なると、工事の品質が著しく低下し、最終的には住民の安全が脅かされることになります。例えば、道路工事で歩切りが行われた結果、施工後わずか数年で路面にひび割れが発生し、補修工事が必要になったという事例もあります。
ダンピング受注の助長
ダンピング受注とは?
ダンピング受注とは、受注企業が他社よりも低い価格で入札を行い、利益を大きく削って工事を請け負うことを指します。歩切りが行われると、予定価格が実際の施工コストよりも低くなり、企業は利益を確保するためにダンピング受注をせざるを得なくなります。
ダンピング受注の問題点
過度な価格競争が発生し、業界全体の利益が減少
建設業界では、適正な利益を確保することで、企業が技術力を向上させたり、労働環境を改善したりすることができます。しかし、ダンピング受注が常態化すると、適正な価格で受注できなくなり、業界全体が低価格競争に陥ります。
工事の品質管理が困難になる
低価格での受注が続くと、施工現場では人員を削減したり、安価な材料を使用したりせざるを得なくなります。その結果、品質の低下が避けられません。
受注業者の経営悪化
無理な価格で受注することで、企業の収益が圧迫され、最終的には倒産する企業が増える可能性があります。特に地方の中小企業は影響を受けやすく、地域経済にも悪影響を及ぼします。
このように、歩切りによって適正な価格での競争が妨げられると、建設業界全体の健全な発展が阻害されるのです。
担い手の育成・確保への悪影響
建設業界の人材不足を加速
建設業界では、熟練の職人や技術者の確保が重要です。しかし、歩切りが行われ、企業が適正な利益を確保できないと、人件費を削るしかなくなります。その結果、以下のような問題が発生します。
労働環境の悪化
長時間労働や低賃金が常態化し、若手の技術者が建設業界に入ってこなくなります。
技術継承が困難になる
ベテランの職人が新しい人材を育成する余裕がなくなり、技術の継承が滞ります。
業界全体の高齢化が進む
若い世代が建設業界に参入しないため、業界全体の高齢化が進行し、将来的な人材不足が深刻化します。
歩切りによって労働環境が悪化すると、建設業界の担い手不足が加速し、社会インフラの維持が困難になる可能性が高まるのです。
法的な位置づけと改正の経緯
品確法の改正で歩切りが明確に禁止
これらの問題を受けて、2015年に「公共工事の品質確保の促進に関する法律(品確法)」が改正され、歩切りは明確に違法とされました。
改正品確法第7条第1項第1号では、発注者は、適切に作成された仕様書及び設計書に基づき、市場における労務及び資材等の取引価格、施工の実態等を的確に反映した積算を行うことにより、予定価格を適正に定めなければならないと定められています。
歩切り廃止後の影響
適正な価格での競争が実現し、施工業者の健全な経営が可能に。
ダンピング受注が減少し、適切な品質の工事が行われるように。
建設業界の人材確保が進むことで、長期的なインフラ維持が可能に。
国土交通省は、地方自治体に対しても歩切り廃止を徹底するよう指導を行い、現在ではほぼ全ての自治体で歩切りの廃止が実施されています。
歩切り禁止の意義
歩切りは、公共工事の品質低下やダンピング受注の助長、担い手不足などの深刻な問題を引き起こしていました。現在では法的に禁止され、発注者には適正な予定価格の設定が求められています。
今後の課題は、適正な価格設定が徹底されるよう監視を強化し、建設業界全体の持続可能な成長を支えていくことです。
『歩切り』廃止後の影響と現状:公共工事の品質と入札状況の変化
地方公共団体における「歩切り」廃止の取り組み状況
「歩切り」とは、公共工事の発注者が適正な積算に基づく設計書金額から一部を控除して予定価格を設定する行為を指します。この行為は、公共工事の品質や安全性の低下、ダンピング受注の助長、建設業界の担い手確保への悪影響など、多くの問題を引き起こす可能性があるため、法的に禁止されています。具体的には、2015年の「公共工事の品質確保の促進に関する法律(品確法)」の改正により、「歩切り」は明確に違法とされました。
この法改正を受け、国土交通省と総務省は、地方公共団体に対して「歩切り」の廃止を強く要請しました。その結果、2016年4月には、全国の全ての地方公共団体(47都道府県、20指定都市、1721市区町村)が「歩切り」を廃止することを決定しました。
しかし、「歩切り」の廃止後も、設計書金額と予定価格が同額でない団体や、端数処理等を行っている団体が存在していました。例えば、2016年2月の時点で、設計書金額と予定価格が同額である団体は1528団体、端数処理等を行っている団体は252団体でした。
その後も、国土交通省は「歩切り」の根絶に向けた取り組みを継続し、2021年1月の調査では、「歩切り」を行っている団体は0団体となり、設計書金額と予定価格が同額である団体は1672団体、端数処理等を行っている団体は100団体となりました。
「歩切り」廃止後の公共工事の品質や入札状況の変化
「歩切り」の廃止により、公共工事の品質や入札状況には以下のような変化が見られました。
1. 公共工事の品質向上
「歩切り」によって予定価格が不当に引き下げられると、受注者はコスト削減を余儀なくされ、結果として工事の品質や安全性が損なわれる恐れがありました。「歩切り」の廃止により、適正な予定価格が設定されるようになり、受注者は適切なコストで工事を行うことが可能となりました。これにより、公共工事の品質や安全性の確保が期待されています。
2. ダンピング受注の減少
「歩切り」の廃止により、予定価格が適正な水準で設定されるようになりました。これにより、無理な低価格での入札(ダンピング受注)が減少し、公正な競争環境が整備されました。適正な利潤を確保できるようになった受注者は、技術力や経営力の向上に注力できるようになり、業界全体の健全な発展につながっています。
3. 担い手の育成・確保の促進
適正な予定価格の設定により、受注者は適切な利潤を確保できるようになりました。これにより、技術者や技能労働者への適正な賃金支払いが可能となり、人材の育成や確保が進んでいます。また、労働環境の改善にもつながり、建設業界への新たな人材の参入が期待されています。
4. 入札不調の減少
「歩切り」の廃止により、予定価格が市場の実勢を的確に反映したものとなり、入札者にとって受注しやすい環境が整いました。これにより、入札不調の発生が減少し、公共工事の円滑な進行が期待されています。
総じて、「歩切り」の廃止は、公共工事の品質向上、公正な入札環境の整備、建設業界の健全な発展に寄与しています。今後も、発注者と受注者が協力し、適正な価格設定と高品質な工事の実施に努めることが求められます。
適正な予定価格設定のためのポイント:公共工事の品質と透明性を守るために
公共工事の品質確保と建設業界の健全な発展のためには、適正な予定価格の設定が不可欠です。特に、「歩切り」の廃止後は、市場実勢を反映した積算や透明性・公正性の確保が重要となっています。以下に、適正な予定価格設定のためのポイントを詳しく解説します。
市場実勢を反映した積算の重要性
適正な予定価格を設定するためには、最新の市場動向を的確に反映した積算が求められます。具体的には、労務費や資材費、機械経費などの最新の取引価格や施工実態を積算に反映させることが重要です。これにより、受注者が適正な利潤を確保しつつ、高品質な工事を提供できる環境が整います。また、適正な積算はダンピング受注の防止にもつながり、建設業界全体の健全な競争を促進します。
公正性の確保
予定価格の設定においては、公正性の確保が不可欠です。発注者は、積算の根拠やプロセスを明確にすることが求められます。これにより、入札者間の公平な競争が促進され、不正や談合の防止につながります。さらに、法令に基づく手続きは、公共工事に対する市民の信頼を高める効果もあります。
具体的な積算手法や参考資料の紹介
適正な予定価格を設定するためには、以下の積算手法や参考資料を活用することが有効です。
最新の積算基準の適用
国土交通省や各地方公共団体が提供する最新の積算基準や単価表を参照し、積算に反映させることが重要です。これにより、市場の実勢価格を的確に反映した予定価格の設定が可能となります。
現場の施工実態の把握
現場の状況や施工方法、使用する資材の特性などを詳細に調査し、積算に反映させることで、より精度の高い予定価格を設定できます。現地調査や専門家の意見を積極的に取り入れることが有効です。
過去の工事データの活用
類似工事の実績データや市場価格の推移を分析し、積算の参考とすることで、適正な予定価格の設定に役立てることができます。これにより、過去の経験を活かした精度の高い積算が可能となります。
これらの手法や資料を活用し、適正な予定価格を設定することで、公共工事の品質確保や建設業界の健全な発展に寄与することが期待されます。発注者は、これらのポイントを踏まえ、透明性・公正性の高い積算と予定価格の設定に努めることが求められます。
今後の公共工事に求められる姿勢
「歩切り」廃止後、公共工事の発注者には以下のような姿勢が求められます。
1. 適正な予定価格の設定
市場の実勢を的確に反映した積算を行い、適切な仕様書や設計書に基づいて予定価格を設定することが重要です。
2. 公正性の確保
積算の根拠やプロセスを明確にすることで、入札者間の公平な競争を促進し、不正や談合の防止につながります。
3. 継続的な市場調査と情報収集
労務費や資材費などの市場動向を定期的に調査し、最新の情報を積算に反映させることで、適正な予定価格の設定が可能となります。
4. 技術者や技能労働者の育成・確保への配慮
適正な予定価格の設定により、受注者が適切な利潤を確保し、人材育成や労働環境の改善に投資できる環境を整えることが求められます。
これらの取り組みにより、公共工事の品質と安全性が確保され、建設業界の持続的な発展と地域社会の安心・安全が実現されることが期待されます。
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