本サイトの質疑応答集

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その他
奈良 2014年9月
その他

皆様から頂いたコメントやメール相談の中から、多くの人に役立つ内容をまとめました。より理解しやすいように再編集してあります。特にプライバシーや秘密保護のため、組織名や個人名、契約内容などはすべて架空です。また、挨拶やお礼文なども省略しています。「問のタイトル」にある年月は、質問のあった時期です。(このページは随時更新しています。)

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仕様作成に関する質疑応答

 

問 仕様書を作成する条件 2018年8月

1.消耗品と備品の仕様書
上司によって、「消耗品は仕様書が不要、備品は仕様書が必要」という判断と「消耗品・備品に関係なく仕様書は作ったほうが良い」という意見があります。どちらが正しいのでしょうか。

 

2.情報機器の仕様書
上司から「カメラやUSB等の情報機器は価格によらず仕様書を作らないといけない」と指示を受けたのですが、これは正しいのでしょうか。

 

3.消耗品の判断
上司によって、「消耗品は5万円以下ならどんな物でも消耗品扱い」という意見と、「消耗品は5万円以下でも耐用年数が1年以上なら備品扱い」と意見が分かれるのですが、どちらが正しいのでしょうか。

 

もしご存知でしたら根拠法令等を含めてご教示いただけますと幸いです。

 

答 仕様書を作成する条件 2018年8月

1.消耗品と備品の仕様書

仕様書は次のときに作成します。会計法令上、消耗品と備品の区別で判断が変わることはありません。

 

◯契約内容が複雑なとき。

◯契約金額が高額で入札や見積もり合わせが必要なとき。

 

つまり、仕様書を省略できるのは、契約金額が少額(数万円)で1社のみと少額随意契約するときです。ただし、組織によって仕様書の取り扱いには慣例があると思います。

 

仕様書を省略できないのは、「入札」と「見積もり合わせ」のときです。口頭では契約条件を提示できません。

 

2.情報機器の仕様書

上記と同じ答えになります。

 

3.消耗品の判断

組織内で規則を作成し基準を明確にすべきです。政府系の予算を使用するときは10万円以上は備品扱いです。

 

参考 次のタイトルでWEB検索すると多数情報が見つかります。

「競争的資金における使用ルール等の統一について」
平成27年3月31日(競争的資金に関する関係府省連絡会申し合わせ)一部のみ抜粋

3 使用ルールの統一

消耗品や備品の購入に関するルールや、備品として管理する物品の金額、研究機器の購入方法等について使用ルールを統一する。
(1)補助又は委託先の研究者及び研究機関は、耐用年数1年以上かつ取得価格 10 万円以上の物品は備品として、耐用年数1年以上かつ取得価格 50 万円以上の物品は資産として管理すること。

 


 

問 仕様書の根拠法令について 2018年9月

1.仕様書の根拠法令
仕様書が必要な条件として下記の内容を挙げられていますが、こちらの根拠法令等はございますでしょうか。
>契約内容が複雑なとき。
>契約金額が高額で入札や見積もり合わせが必要なとき。

 

2.仕様書をカタログとすること
少額随契(HDMIケーブル購入など)で見積もり合わせをするとき、仕様書はカタログのコピー等で良いと指示を受けたのですが、これは正しいのでしょうか。根拠法令等もあればご教示いただけますと幸いです。

 

 

答 仕様書の根拠法令について 2018年9月

1.仕様書の根拠法令

仕様書の作成基準については、会計法令では定められていません。仕様書は、販売会社等に対して、発注内容(契約条件)を提示するための書類です。少額随意契約などで、契約内容が簡単なもの、つまり、後日トラブルにならないものであれば省略したり口頭でも可能です。

 

2.仕様書をカタログとすること
上述とも関連しますが、HDMIケーブル購入契約などは、簡単な発注(契約)と判断すれば、仕様書を省略することもあると思います。貴組織が慣例的に実施していて、過去に外部から指摘を受けてないなら問題ないです。会計検査院や内部監査でも認めているなら問題ありません。

 


 

問 水路工事の仕様書作成方法 2018年1月

補助金を受けて水路改修工事の事務を担当しています。
水路改修工事費を積算できないので、談合されないよう別々の日程で業者を呼んで現地で説明をして見積書をもらい、契約者を決めています。水路工事の仕様書をどう作れば良いのか分かりません。?

 

答 水路工事の仕様書作成方法 2018年1月

工事契約については、建築士や土木施工管理技士の資格など、工事ごとの専門知識が必要なので、本サイトの対象外になります。

 

専門知識を必要としない小規模な工事契約であれば、仕様書の作成は次の手順になります。

 

1.複数の工事会社から参考見積書を取り寄せる。(正式契約の前段階です。)

 

2.最安値の工事会社へ、工事内容を文書で提出してもらう。
(工事の概要、工事の手順、使用する材料、工事期間など、可能なら図面も作成してもらう。)

 

3.仕様書は、工事会社から提出してもらった資料をベースに作成することになります。そして、仕様書が完成した段階で、見積もり合わせ(あるいは入札)を実施して契約の相手方を決定します。

 

また、大規模な工事契約は、一般的に次のような手順です。

 

1.補助金の出資元省庁の工事契約の手続きに準じる。
各省庁では工事契約の標準仕様書や積算基準を設定しています。

 

2.国土交通省が定めた契約手続きに準じる。
例 国土交通省 関東地方整備局

公共土木工事の積算 | 国土交通省 関東地方整備局
国土交通省 関東地方整備局 企画部のページです。地域づくり、各事業間調整、防災、広報、景観、環境に関する総括、事業評価、工事・業務の積算基準、入札・契約に関する技術的な事項、電気通信、機械設備に関する業務、技術者の育成など。

 

これら大規模な工事契約は、仕様書や予定価格の作成に際して、建築士などの専門知識が必要です。

 


 

問 CTIの仕様決定方法 2014年5月

当方、営業職の者です。もし気が向きましたらで構いませんので、今後もこのような営業に役立つ記事(例えば官公庁のCTIの仕様はどのように決定しているか等)を更新して頂きたいです。

CTI=Computer Telephony Integration

 

答 CTIの仕様決定方法 2014年5月

官公庁のCTI関連の仕様作成について、一般的な作成プロセスを参考に記載します。前提として、発注者である官公庁側に専門技術者がいないケースです。

 

1.複数の専門業者へ、おおまかな内容を伝え、提案書を提出してもらう。

 

2.提案書の内容を調べ、その中で、必須の仕様(求める内容)を抽出し、官公庁側の複数の人に検討してもらう。(仕様策定委員会のような会議形式で仕様書を作ることもあります。)

 

3.ある程度の仕様が固まったところで、再度、専門業者へ参考見積書を提出してもらう。

 

その後、入札手続きを始めます。

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予定価格に関する質疑応答

 

問 諸経費率の算出方法 2021年7月

役務契約(清掃・警備等ではない)の予定価格積算について2点質問がございます。

 

記事内で「通常、「15%程度」であれば諸経費率として妥当と考えられています。」と記載されいていますが、根拠となるデータや省庁からの公表等がございますでしょうか。当方もある役務契約の予定価格にて、「諸経費率は10%とする。」として決裁を回したところ、10%という数字の根拠について指摘がありました。何か根拠となり得るデータや省庁からの公表等があればご教示いただけますと幸いです。それとも、契約ごとに他施設への実績を照会するなどして、根拠を作る必要があるでしょうか。

 

2つ目は「この「諸経費率」も、会社からの参考見積書を基に算出します。」と記載されていますが、複数社に「諸経費率」の提出を依頼した場合、会社毎に「諸経費率」として算出する項目(法定福利費、福利厚生費等)に差があることが想定されるかと思います。依頼する際に明確に諸経費の項目を指定する、差については考慮しない、などの対応が考えられるかと思いますが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。

 

答 諸経費率の算出方法 2021年7月

契約実務を担当していると、諸経費は悩ましい問題ですね。先に質問に回答し、その後に補足説明します。

 

ひとつめの回答です。
予定価格を算出するときの諸経費率は、根拠が必要です。根拠がないと、「説明できない予定価格」になってしまいます。ただ諸経費の根拠については、「本当に正当なのか」まで深く考える必要はありません。

 

ふたつめの回答です。
参考見積書から諸経費率を採用する場合は、最安値(率が小さいもの)を採用します。個々の項目や中身までは考慮しません。

 

次に補足説明です。

2021年現在、役務契約の諸経費率を定めた法令や資料は存在しません。

 

しかし予定価格を作成するときは、根拠が必要になります。予定価格の積算項目の中で、根拠が不明なものが含まれてしまうと、予定価格全体が適正と言えなくなってしまいます。どのような考え方で、どの客観的な数値を基に設定したか、根拠を明確にしておくことが重要です。この場合の根拠というのは「正当なのか、ほんとに正しいのか」まで考える必要はありません。妥当と判断した客観的な数値を用いるだけです。「この数値を採用した」ことがわかれば十分です。

 

諸経費の内容は様々です。会社によって、契約内容によって異なります。諸経費の定義自体があいまいなためです。おそらく人によって、どの範囲を諸経費とするか変わるでしょう。そもそもが、いろいろな(明確にできない)経費という意味で諸経費ですし。

 

理想は、過去の契約実績を基にして、諸経費率の基準を職場内で作成しておくことです。(例えば、役務契約◯円以上◯円以下は15%とするなど)契約の種類や契約金額ごとに設定しておくと悩まないです。

 

一般的に契約金額が高くなれば、諸経費率は小さくなります。契約金額と諸経費率は、反比例の関係です。ただ諸経費率の基準を作成するには、多くのデータが必要です。(本来であれば、日本全国の膨大な契約実績を把握している会計検査院が諸経費率を公表すべきです。おそらく、みんなの悩みが消えて莫大な税金の節約になります。しかし、みんなに役立つ情報は、会計検査院は公表しません。残念ながら会計検査院は批判するだけの組織なので。)

 

一般的な諸経費は、会社の利益を意味します。(細かく見ると利益だけでなく、販売費・一般管理費や法定福利費などを含むこともあります。)会社全体の利益は、財務諸表の中の損益計算書で確認できます。

 

つまり、その会社全体としての諸経費率であれば、損益計算書から算出できます。売上総利益や営業利益の率から計算できます。しかし個々の契約ごとの諸経費率までは算出できません。

 

そのため諸経費率の根拠は、参考見積書を用いることが多いです。複数の参考見積書から、最も率の低い諸経費率を採用します。諸経費の主要部分は、会社の利益とみなすので、率の低いものを採用します。諸経費の積算項目までは考慮しません。諸経費の積算項目は、いろいろな考え方があって一律に定めるのは不可能だからです。

 

他省庁の契約実績に基づく諸経費率は、金額を調整している可能性があるので注意が必要です。本体の値引きを抑えるために、値引分を諸経費から控除していると、本来の諸経費率が極端に小さくなってしまいます。

 

 


 

問 変更契約で増額した場合の予定価格調書 2021年2月

予定価格調書作成基準額未満であったため、当該調書の作成を省略して契約手続きを行い契約締結を行った後、仕様の変更等により、変更契約を行うこととなった。

 

その結果、増額となり、最終的に予定価格調書作成基準額を超えることとなった。

 

その場合、予定価格調書を作成するべきなのでしょうか。

 

答 変更契約で増額した場合の予定価格調書 2021年2月

当初の契約では、予定価格調書作成基準額未満であっても、変更契約で増額になり、予定価格調書作成基準額を超える場合は、予定価格調書が必要です。

 

変更契約を締結する前に、増額部分の価格の妥当性を判断します。そのときに予定価格調書を作成します。通常、変更契約年月日の直前(同日も多いです。)の作成日付になります。

 

ただ増額の変更契約は、やむを得ない事情(自然災害などの不可抗力)の場合のみです。

 


 

問 価格交渉での予定価格 2021年1月

不落随契についてですが、不落になった場合も業者側は予定価格を聞くことはできないのでしょうか?

 

落札ができなかった業者に「この価格まで落としてもらえないか」と価格交渉もできない状況であれば、契約も行えないように思うのですが、実際の取引はどうなのでしょうか。

 

答 価格交渉での予定価格 2021年1月

秘密扱いの予定価格は、どんな場面でも金額を伝えてはいけません。価格交渉の過程で、「◯◯円以下で契約できますか?」などと、予定価格を類推できる聞き方はできません。入札不調で価格交渉するときは、「これ以上の値引きはできない、という限界の金額を提示願います」と伝えます。

 

もし、ギリギリまで値引きした金額が予定価格を超えていれば、契約は断念します。それまでの手続きを取りやめて、一から入札手続きをやり直すことになります。

 

相手方が一社しかいない価格交渉の場でも、予定価格を教えてしまえば漏洩事件になりますし、競争原理が働かなくなります。そもそもが、落札しないという状態は、予定価格の積算が適正ではなかったことを意味します。無理に契約金額を引き下げてはいけません。

 

重要な部分なので詳しく解説します。

 

落札しないと判断し、入札を打ち切って価格交渉に入ると、「予定価格との差は、どのくらい開いてますか?」とか、「ここだけの話として、予定価格を教えてもらえませんか?ひとりごとでもいいので」などとの要望が実際にあります。

 

たしかに予定価格を伝えれば、「その金額で契約します」と申し出があるでしょう。しかし、秘密扱いの予定価格は絶対に伝えてはいけません。「すみません、この入札は、予定価格非公表なので、金額を言えません。」と毅然と返答します。

 

そして次のように依頼します。

 

「これ以上、もう無理という、最大限の値引き額で金額を提示してください。駆け引きは抜きにして、これ以上無理という金額でお願いします。もし、それでも予定価格を超えているようなら、今回の契約手続きは断念します。持ち帰って社内で検討してもらっても大丈夫です。」

 

多くの会社は即答せずに、持ち帰って上層部と検討し、2~3時間後くらいに電話連絡してきます。稀に翌日まで検討時間がずれ込むこともあります。官公庁側が頭を下げて丁寧にお願いし、社内で上層部と検討してもらえば、ほとんどの契約で予定価格以下になります。

 

しかし、もし提示された最終金額が予定価格を超えるようなら、不落随契は断念します。予定価格を超えていれば、再度仕切り直して、(かなり大変ですが・・二度手間になりますし)最初から入札を行います。リセットして最初から実施する入札であれば、(金額を増額するなどの)予定価格を見直すことが可能です。落札しない予定価格なら、仕様書を修正して増額するしかありません。

 

ただ、ここで注意したいのは、そもそも予定価格は、「安ければ良い」という考えで作成してはいけない、ということです。大昔(1990年くらいまで)の会計検査院は、実地検査の際に、いつも口癖のように「予定価格が高すぎる」と言ってましたが、「安ければ良い」という考え方は正しくないのです。正しい予定価格とは「実際に取り引きできる金額」で設定すべきものです。適正な利益を含めて予定価格とするのが正しい考え方です。つまり、適正な予定価格であれば、必ず落札するはずなのです。

 

もし「安ければ良い」という誤った考え方を持ってしまうと、買い叩きによって中小企業を追い詰めたり、認められない利益分を他の経費に紛れ込ませたりして、事実と違う書類を作成し、ごまかすような契約を増やすことになります。官公庁が、正常な取り引きを妨害することになってしまうのです。

 


 

問 予定価格は誰が作成するのか 2018年10月

契約担当官等ではなく、契約実務担当者が予定価格を作成しても問題ないというのは、予決令第80条で誰が作成するか指定されていないからでしょうか。

 

少額随契の場合、予決令第99条の5に、契約担当官等はあらかじめ予定価格を定める旨の記載があり、調書の作成を省略していても予定価格の決定にかかる決裁を行う必要があるのではないかと悩んでいます。

 

 

答 予定価格は誰が作成するのか 2018年10月

予定価格の作成者は、契約担当官等(支出負担行為担当官や契約担当官)です。一般的には各組織で責任ある立場の人(局長や部長や課長など)が官職指定されています。この作成者は責任者という立場です。そして内部規則(事務分掌規則など)で部下に対して事務の一部を処理することを命じています。契約実務担当者は、上司である契約担当官等から事務処理を命じられた補助者(予算執行職員)という立場です。(予算執行職員等の責任に関する法律)

 

また、予定価格調書の作成を省略できる場合は、通常、予定価格を記載した書面の作成も省略します。事務簡素化を目的に作成を省略してますので、あえて作成しないことが多いです。

 

少額随意契約についての決裁は、契約締結時あるいは代金支払時などに書類決裁を行い、契約担当官等の承認を得ていると思います。決裁手続きは、各組織で異なりますが、いずれかの段階で決裁していれば問題ありません。

 

予定価格の書面作成を省略したときは、契約金額=予定価格という判断になります。

 

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見積書に関する質疑応答

 

問 過去の日付の見積書 2022年1月

年度末が近づくと、顧客から過去日付で見積書の発行をお願いされることがあります。当方はネット申込みで契約完了する業態のため、顧客から問い合わせがない限り事前打ち合わせなどありません。

 

要は「見積りとるの忘れてたから、つじつま合わせのために見積書発行してくれ」ということだと思います。

 

しかし1年も前の日付で有効期限切れの見積書を「新規発行」することに違和感があります。

 

改正電子帳簿保存方法がはじまり、タイムスタンプが必要になるので、過去日付の見積書を発行すると日付の乖離が生じます。それでも、問題ないか? そんな書類でも、官公庁は書類を整える必要があるのか?ご教示いただければと思います。

 

答 過去の日付の見積書 2022年1月

官公庁から、過去の日付で見積書を発行するよう依頼されるとのことですが、おっしゃる通り違和感を持つのは当然のことと思います。

 

書類を整える目的のためだけに依頼していると思います。会計法令に基づく正式な事務手続きを経ていないです。以前に発行してもらった見積書を不注意で紛失し、再発行を依頼することは稀にありますが、過去の日付で見積書を新規発行することは、官公庁の事務手続きではあり得ません。

 

そもそも見積書の発行日は、相手方へ見積金額を提示する日で記入すべきものです。電話などで見積金額を伝えた後に見積書を発行するときは、数日間だけ遡及することはありますが、事実に合わせるために遡及するだけです。事実に基づかずに遡及するのは、かなり危ない(偽装に近い)行為です。

 

日付を遡及する理由が怪しければ、見積書の発行を断った方が安全だと思います。

 

おそらく官公庁の担当者が正しい知識を持ってないことが原因ですが、1年も遡って見積書を新規発行することは、通常あり得ません。

 

ただ、すでに契約している場合は、官公庁の契約担当者が「ネット申込み」の段階で価格を確認しているはずです。ネット上には、契約できる見積金額が表示されていたわけです。つまり契約開始時の日付で新規に発行するのであれば、見積書の再発行と同じです。

 

官公庁の会計手続きでは、書類不備によって予算が減額されてしまうことがあります。特に政府系の委託費では、「見積書がない」という理由だけで否認され、その契約分の予算が減額されてしまうことがあるのです。今回の件が該当するか不明ですが、場合によっては過去の見積書が必要になる場合もあります。

 


 

問 契約できない見積書とは 2020年5月

見積合わせのために複数社に見積もりを依頼したときに、とある一社から「契約はできないけど、見積書を出すことならできる」といわれたとき、その見積書を比較検討の資料として使うことは契約担当者としては問題ないのでしょうか。

 

例えばパソコン購入について、A社とB社に見積書を依頼し、A社は見積書も出せて契約もできるが、B社は見積もりはできるが繁忙期の関係で契約はできないとします。B社には見積書だけ依頼し、A社と比較して結果としてA社の見積書が安かった場合に、B社との見積書の比較でA社と契約が結べるか、といったものです。

 

答 契約できない見積書とは 2020年5月

先に回答から言いますと、「問題あり」です。

 

まず、営業担当者が「契約はできないけど、見積書を出すことならできる」と言ったとすれば、かなり危ない会社、危ない営業担当者です。注意した方が良いです。平気で虚偽の書類を作ってしまう営業担当者です。(私なら、以後、つきあわないようにします。将来的に犯罪に巻き込まれるリスクが高いです。本サイトで勉強して欲しいものです。)

 

そもそも「見積書」は、「契約の申し込み」として提出するものです。「この金額なら契約できます。」ということを証明する書類です。受け取った契約担当者が、見積金額を確認して「これでお願いします。」と依頼(承諾)すれば、契約が有効に成立します。

 

見積もり合わせのために依頼したのに「契約できない」のであれば、見積書を提出すべきではありません。提出辞退すべきです。あるいは、見積書の金額欄に「今回は業務多忙につき、お取り扱いできません」と記載して提出するべきです。

 

例えば、契約する気がないのに安価な金額の見積書を提出し、契約担当者が見積もり合わせした結果、正式に注文したときに断られたら、大問題です。虚偽の書類を提出し、官公庁の業務を妨害したことになります。正式な「取引停止」処分に該当するほど大きな問題です。

 

他の会社へ見積書を依頼する方が安全です。

 


 

問 参考見積書は通常1社のみか 2018年9月

2社分以上必要な相見積もりと違い、「参考見積もり」は1社分でも良いのが一般的なのでしょうか。

 

私の部署では、契約依頼書の作成時に「参考見積もり」を最低1枚添付せよと言われていますが、これは法令等で決まっているわけでなく慣習なのでしょうか。

 

答 参考見積書は通常1社のみか 2018年9月

契約の事務手続きについては、各組織の慣習的な取り扱いがあると思います。一概に過去の手続きについて、良い悪いを判断することはできません。

 

しかしながら、「参考見積書」は、本来、契約を前提としていない書類です。会計法令で「参考見積書」の添付を義務付けている条文はありません。もし、組織の中で明確な内部規則がなければ「慣習」と判断できます。

 

ただ、官公庁における契約手続きは「明確なルール」に基づいて処理しないと、対外的な説明が困難になります。「適正な会計手続き」とは「公正なルール」に基づくものです。そして「公正なルール」は、組織の中でオーソライズされたものです。(就業規則や内部規則などは、一定のルールで作成されているはずです。)

 


 

問 見積書について 2018年8月

①見積書の形式について
当方の部署では次のような形式でもらうように上司より指導を受けております。
・比較見積もりで不採用になった見積書・・・PDFのコピー
・比較見積もりで不採用になった見積書・・・原紙
果たしてこれは正しいのでしょうか。

 

②日付について
残念ながら、当方の部署では3点セットで依頼するよう上司より指導を受け、これまで納品時に3点セット「見積書(原紙)」「納品書」「請求書」を契約依頼書の決裁日より後の同じ日付で貰っていました。

 

今後は、見積書(発注前に郵送でもらう) → 納品書(納品時にもらう) → 請求書(納品後、検収完了してからもらう)のタイミングで日にちをずらして貰ったほうが良いのでしょうか。

 

答 見積書について 2018年8月

①について
従来から実施しているのであれば問題ないと思います。

 

PDFと原本の取り扱いについては、会計法令での定めはありません。100万円以下などの金額の少ない見積もり合わせ(比較見積もり)では口頭見積もり可能です。電話で見積もり金額を聞きメモすることもあります。そして一番有利な会社と正式契約するときに見積書原紙を提出してもらいます。おそらくPDFレベルで比較検討し、正式契約のときに原紙を提出してもらう取り扱いだと思います。

 

②について
見積書、納品書、請求書の日付については、実際の日付で作成してもらいます。例えば、極端な例ですが、近くの販売店で小さな物品を購入し、その場で請求書を発行してもらえれば、見積書、納品書、請求書は同じ日になります。即納品は同日のことが多いです。

 

発注から納品までに数日間必要なときは、見積書は発注日以前、納品書と請求書が同日のこともあります。

 

いずれも、実際の日で処理します。事実と異なる作成日を指定すると、場合によっては日付を操作したと見做され「不正」になります。

 

見積書=発注日以前

納品書=納品日(購入日)

請求書=検収確認後に提出してもらいます。

 

取引相手の会社へ「請求書の提出は、当方での納品確認後に連絡があってから提出して欲しい」旨の協力依頼をしておくと効率的です。

 


 

問 参考見積書の依頼 2018年8月

随意契約において、購入したい物品が「消耗品か」「備品」になるか微妙な価格帯のときに、参考に見積書が欲しいときがあります。
そのときは電話・メール等で「参考見積書」をくださいといえばよいのでしょうか。

 

答 参考見積書の依頼 2018年8月

ご質問のとおり、物品の価格を調べるために取り寄せる書類は、契約締結を前提としない「参考見積書」です。できれば電話で「契約は予定してないのですが、取引価格を調べたいので参考見積書の提出をお願いできますか?」と尋ねるのが良いです。そのときに消費税も明記してもらいましょう。

 

また、価格調査の後に、契約を締結するための「見積もり合わせ」を行うこともあります。その際には、最新の見積書を提出してもらいます。通常、「見積もり合わせ」で提出してもらう見積書は、値引きが大きくなります。

 

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競争入札に関する質疑応答

 

問 指定品などの機種指定について 2021年5月

入札についての質問です。基本的に、指定品のみの入札はできないと考えていいのでしょうか?

 

また、同等品可能とする場合は、随意契約のみでしょうか??指定品のみでの一般競争入札も見かけるのですが、根拠がよくわかりません。

 

答 指定品などの機種指定について 2021年5月

指定品のみの入札は、「合理的な理由」があれば可能です。ただし「なぜ指定したのかを説明するための理由書」が必要です。

 

「合理的な理由」とは、誰もが納得する理由です。誰かが「指定しなくても大丈夫でしょ?」と疑問を抱くようなら指定できません。

 

ただ原則は、指定しない契約手続きです。誰でも入札へ参加できるような契約内容であることが望ましいわけです。国民の税金を使うので、特定の会社が有利になるような条件は排除しなければなりません。

 

また同等品は、随意契約でも競争入札でも仕様書へ記載することがあります。規格や品質が一定以上で問題ないときに同等品とします。机や椅子などの什器類の契約は同等品も可能とする場合が多いです。机や椅子は、メーカーが異なっても、ほぼ同じ品質だからです。

 


 

問 指名競争入札で不調 2018年10月

指名競争入札で不調となり、一度仕様書を見直して再度入札したところ、再び不調となりました。再々度仕様を見直し入札にかけようとしたところ契約担当課よりできないと言われました。上記の方法は不適切でしょうか。

 

 

答 指名競争入札で不調 2018年10月

契約内容と指名競争入札の理由が不明なので、正確な回答ではないかもしれません。

 

今回の件は、指名競争入札を取り止めて、一般競争入札へ切り替えるべきです。そもそも、指名競争入札で不調になること自体が、契約手続きに問題があると思われてしまいます。契約内容を適正に履行できる会社として、指名しているはずです。手続き自体が矛盾しています。

 


 

問 再度公告入札への参加依頼について 2017年9月

給食業者に総合評価方式の入札をお願いしましたが、3社とも予定価格を上回ってしまいました。当日の再入札でも1社のみ参加でも条件が合わず随意契約にすべきか不調にすべきか悩んでおります。

 

再公告入札にした場合、入札予定価格を変更して、前回の3社に入札の依頼をかけても問題ないでしょうか?

 

別の業者を探すのも地域にあまり業者さんがいないのですが・・・。

 

答 再度公告入札への参加依頼について 2017年9月

入札を実施した結果、予定価格を超えていたときは、入札不調となります。

 

そして、その後、最も安い金額で入札した者と、随意契約の交渉を行うこととなります。交渉の結果、予定価格以下での契約が可能なら、不落随契(予決令99-2)として契約手続きを進めるのが、最も効率的です。

 

次に、予定価格以下での随意契約の交渉も不調となり、予定価格の見直しが必要となったときは、当初の入札(契約)とは別の入札(契約)になります。

 

入札公告期間が十分とれるなら、ゼロベースで仕様書の見直しを行い、契約件名も変更し、契約可能な予定価格を設定して入札を実施します。また、公開入札を行うときに、当初参加した3社全員へ公平に参加の依頼を行なうのは問題ありません。1社のみに声をかけると不適正な手続きになるので、注意が必要です。

 

もし、公告期間を短縮(予決令92)する必要があるときは、仕様書の大幅な変更はできません。(入札参加者が、最初から積算し直さなければならないような内容の変更は無理となります。)

 

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随意契約に関する質疑応答

 

問 売払契約の見積もり合わせ 2021年1月

予決令第99条第5号を適用し、50万円を超えない財産を売り払う随意契約の場合、第99条の6により、2社以上の見積書が必要でしょうか?

 

財産の売り払いを見積依頼する場合は、資格を持った業者に対して、事前に購入希望できるかどうかメールや電話で確認し、購入希望できる業者のみに見積依頼すればよろしいでしょうか?それとも、資格を持った業者に対して、購入希望の事前確認はせずに、過去実績等を考慮して、見積依頼を郵送することでよろしいでしょうか?

 

基本的には、第99条第3号の予定価格が160万円を超えない財産を買い入れるときと同様の考え方で進めればよいでしょうか?

 

事前確認により、見積依頼する業者が1社のみになった場合や、複数に見積依頼したが、見積辞退し結果的に1社になった場合でも、第99条第5号は適用されますでしょうか?競争性を確保した契約手続き(同一条件で複数の会社と価格競争した結果1社になった)という解釈でよろしいでしょうか?こうした経過も決議書に記載した方がよいでしょうか?

 

答 売払契約の見積もり合わせ 2021年1月

はい、そのとおりです。

 

物品などの売り払いは、税込み50万円以下であれば、予決令第99条第5号に基づき随意契約が可能です。そして、第99条の6により、2社以上の見積書を取り寄せることになります。事前に、電話やメールで、購入希望を聞いてから依頼します。見積依頼を一方的に郵送するのは、相手に対して失礼です。契約は、お互いが対等な立場で行うものです。

 

予算決算及び会計令
第九十九条 (略)随意契約によることができる場合は、次に掲げる場合とする。
(略)
五 予定価格が五十万円を超えない財産を売り払うとき。

 

第九十九条の六 契約担当官等は、随意契約によろうとするときは、なるべく二人以上の者から見積書を徴さなければならない。

 

また、おっしゃる通り、「財産を売る場合も、買う場合も」考え方は同じです。

 

予決令第99条第5号を適用し、2社以上へ見積依頼した結果、1社のみしか見積金額を得られなかったとしても問題ありません。ただし、見積書を提出しなかった経緯(なぜ提出してもらえなかったかという事実)は、記録として必要です。見積書を入手できなかった事実を残しておかないと、2社以上へ提出依頼したことも証明できません。1社のみになった経緯の記録を忘れると、後日、予決令第99条の6を無視したことになってしまいます。

 

例えば相手方から、「今回の契約は辞退したい」との要望があれば、見積書に「辞退」と記載して提出してもらいます。あるいは、メール本文などへ、その旨を記載して返信してもらいます。電話などで理由を聞いてメモしておくことが大切です。

 

予決令第99条の6は、「なるべく」2社以上と定めています。結果的に(他の会社が辞退などで)1社でも問題ありません。ただ1社しか見積書を入手できないときは、できれば5社以上へは声をかけたいところです。

 

一般的に辞退する理由としては、「利益にならない」、「取り扱っていない」、「他の大口契約を優先したい」、などがあります。その時々の会社の経営判断になります。官公庁だからと言っても、対等な立場で行う私法上の契約を強制できるわけではないですし、仕方ないことです。

 


 

問 安く契約するための分割発注 2020年6月

官庁がある目的を果たすため、規格が違う複数の商品x、y、zを購入するとします(例:執務を目的に大型机・中型机・小型机の購入を行うなど)。

 

ここで官庁が見積書を業者a業者bから徴収したところ、合計金額は業者aが優位であったが、1つの商品xについてのみ業者bが格段に安かった。このことを踏まえ、商品xのみと商品y、zで分け、再度見積もり依頼を業者a,bに依頼し、見積合せの結果商品xは業者b、商品y,zは業者aに発注することとなった。

 

この結果、業者aから複数商品の全てを購入するよりも安く購入できた。

 

以上の例は分割発注に当たりますでしょうか。またこれは違法性がありますか。

 

答 安く契約するための分割発注 2020年6月

安く契約するために分割発注して、それぞれ別の会社と契約するのであれば、問題ありません。入札を避ける目的などの違法性もないと思います。

 

違法性があるのは、分割発注したのに、同一会社と契約することです。例えば、実態は、ひとつの契約なのに、書類上分割して、入札対象から外すような行為です。

 

ただ注意が必要なのは、「安い」と明確に言えるのは、一般競争入札を実施した場合のみということです。多数の者による価格競争であれば、明確に安いと断言できます。つまり商品x、y、zの合計金額が入札対象であれば、業者aもbも販売できる状態なので、一般競争入札すべきです。もし合計金額が入札対象でなければ、安くするために別業者と分割契約しても問題ありません。

 


 

問 仕様が異なる分割発注 2020年5月

分割発注についてですが、仕様内容や購入目的が違うことは分割して発注した合理的理由になるでしょうか。

 

たとえば、◯◯市の例で、とある部署で仕様の異なるパソコンbとパソコンcが一緒に必要となり、購入の積算したところ、パソコンb・パソコンcそれぞれ単体では見積もり合わせをする必要がない小額特名随意契約の額だったが、合計額では複数社見積もりが必要な小額随意契約の額だったとします。

 

A社とB社へ見積り合わせを依頼したところ、A社はパソコンbとパソコンcを取り扱っており、B社はパソコンbのみ取り扱っていると回答があったとします。この場合、パソコンbとパソコンcを分けてパソコンbを見積り合せすべきだと思いますが、結果的にA社のほうが安かった場合、ぱっと見はパソコンb・パソコンcの発注を分割したように見えてしまう、といった問題が出そうな気もします。

 

答 仕様が異なる分割発注 2020年5月

分割発注については、仕様内容が異なることで、「参加できる販売会社が変わる」のであれば、分割しても問題ありません。しかし「入札を避ける目的」ですと問題になります。また、分割発注を行うときの判断に、購入目的は関係しません。

 

仕様が異なるために、見積もり合わせに参加できる会社がそれぞれ違うのであれば、問題ないです。分割しないと参加できない会社があるなら、分割も良いと思います。「官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律」でも、分離・分割発注を推進しています。保存する契約関係書類の中へ、分割発注とした経緯のメモを残しておきます。

 

問題になるケースは、契約を2つに分割しても、「見積もり合わせに参加する会社が同一の場合」です。この場合は「入札を避ける目的」で分割したことになり、違法と見做されます。どの会社も2つの契約を受注できるなら、そもそも分割発注すべきではありません。

 

「分割発注」のポイントは、「それぞれの契約で、別の会社しか参加できない」点です。

 


 

問 高額な随意契約 2019年2月

3年間1億円もする業務委託契約を随意契約ですることはあるのでしょうか?

 

答 高額な随意契約 2019年2月
3年間で1億円の業務委託契約は、十分に可能性あります。

 

例えば、入札手続きを行った際に、落札しなかった「不落随意契約」や「競争性のない随意契約」のケースです。契約内容と契約手続きの経緯がくわしく判明すれば、もう少し具体的に解説できると思います。

 

高額な随意契約で多い例は、「競争性のない随意契約」予決令102-4-3です。

 


 

問 公募プロポーザルについて 2018年9月

公募プロポーザルも随意契約ですから、予め作成した予定価格を超えた提案が採用された場合も同様に考えればよいでしょうか。

 

 

答 公募プロポーザルについて 2018年9月

公募プロポーザルについては、契約の相手方を決定する条件として「予定価格の範囲内」ということが明記されてなければ、随意契約と同じ扱いです。公募プロポーザルは、相手方を決定する方法を事前に公開しておくことが重要です。

 

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契約手続きに関する質疑応答

 

問 「見積もり合わせ」と「入札参加資格」 2021年9月

 

少額随意契約は数社(3社)での見積合わせ後に業者決定とありますが、当該業者は統一参加資格保有者かと思います。

 

この場合、例えば等級A及びBは除外されるなどの各資格の種類ごとの等級は影響するのでしょうか。

 

 

答 「見積もり合わせ」と「入札参加資格」 2021年9月

地方自治体は、それぞれの条例で取り扱いが異なるので、国の会計法令を基に回答いたします。

 

少額随意契約による見積もり合わせでは、全省庁統一資格は不要です。そもそも全省庁統一資格は、一般競争入札と指名競争入札へ参加する場合のみ必要になります。随意契約では必要ありません。

 

もし見積もり合わせで等級制限するような場合は、なぜ等級制限が必要になるのか具体的な理由が必要です。通常は、そのような特殊な理由は考えられません。

 

普通の見積もり合わせでは、等級で制限することはありません。見積もり合わせは、信頼できる会社を3社選ぶので、資格も必要ありません。会社を探すときに全省庁統一資格の名簿を使うことはありますが、等級は気にしないです。業務内容と販売地域などから信頼できると思われる会社を見つけます。電話で社員の応対を聞くだけでも、信頼できる会社なのかわかるものです。

 

「随意契約では全省庁統一資格が必要ない」という根拠法令は、予算決算及び会計令第百条の三 第三号の契約保証金免除の条文からもわかります。全省庁統一資格は、危ない会社を排除するための事前審査だからです。

 


 

問 1社だけの見積書 2021年7月

契約事務を行う中で、見積合わせを行わなければいけない購入物の契約があり、複数社(5社)へ見積書を依頼をしたのですが、かなり特殊な機材の部品で1社以外すべてお断りされてしまいました。

 

根拠資料として1社の見積書しかない状態なのですが、この場合お断りされた社から辞退届等をもらい選定することは有効となりえますでしょうか。もしくは、入札に移行せざるを得ない状況でしょうか。

 

答 1社だけの見積書 2021年7月

契約予定金額が不明なので、少額随意契約を前提に回答します。

 

少額随意契約で、複数社の見積もりを取り寄せようとしたところ、結果的に1社のみになったとしても法令違反ではなく、問題ありません。他社の見積もりが取れなかった理由を聞き、メモを残しておくことで、少額随意契約が可能です。見積もりが取れなかった理由を記載したメモがあるなら、辞退届けは必要ありません。

 

また見積もりを提出できない理由が、特殊な仕様によるものであり、他の4社からの聞き取りで1社としか契約できないことが明白であれば、選定理由書を作成して、競争性のない随意契約(予決令102-4-3)も可能です。

 

もし、少額随意契約の対象範囲を超えた高額な契約であれば、一般競争入札を実施した方が安全です。結果的に参加が1社であっても、一般競争入札であれば問題ありません。

 


 

問 見積もり合わせが省略できる基準 2021年4月

①2~3社を選定し、見積もり合わせを行う他に、さらに一定金額以下(50万円未満など)の場合は見積もり合わせも省略できるとのことですが、この見積もり合わせを省略できる根拠規定が探しても見つからず、もしご存じであればご教示いただきますと幸いです。

 

また、見積もり合わせが省略できる場合、例えば毎年同じ会社と少額随意契約を行っており、単価も知っているため50万円未満であると容易に考えられる場合には、その会社のみから見積もりを取ることも可能ということでしょうか。

②見積書の徴収について、「予決令九十九条の六 契約担当官等は、随意契約によろうとするときは、なるべく二人以上の者から見積書を徴さなければならない。」と規定されていますが、あくまでもなるべくなので、実務上1者のみで行こともあるのでしょうか。

 

答 見積もり合わせが省略できる基準 2021年4月


見積もり合わせを省略できる根拠法令はありません。もしあるとしても、各組織で内部規則として作成しているだけです。

 

契約金額が少額な随意契約は、事務簡素化を目的にしています。そもそもが「簡単に手続きを行うためのもの」です。見積もり合わせは、1週間程度時間のかかる少し大変な手続きになります。少額随意契約の趣旨からすれば、見積もり合わせも省略したいのです。

 

また、単価がわかっているから他社の見積もりを省略できるということではありません。少しニュアンスが違います。そうではないです。契約金額が低ければ「手続きを省略して簡単にする」という趣旨です。

 

もし、すべての契約で見積り合わせしていたら、人手が足りず仕事になりません。契約担当者を20倍くらい増やさないと対応できないでしょう。例えば急な会議(一週間後に20人集まる)のために、筆記用具と電卓を3万円分購入するときなどは、見積り合わせしません。手続きが間に合わないので、信頼できる会社へ電話で発注するだけです。

 

大きな組織の契約担当者は、毎日、新しい契約を5件以上処理しています。見積り合わせは、1件処理するだけで1週間以上必要です。すべての契約で見積もり合わせしていたら、現実問題として間に合わなくなります。


一定額以上の少額随意契約であれば、必ず3社で見積もり合わせします。1社のみの見積もり合わせは、通常、あり得ません。契約手続きが「不適切」と指摘されてしまいます。

 

そもそも1社だけでは、「見積もり合わせしてない」ことになります。内部規則で「〇〇万円以下は見積もり合わせを省略できる。」と規定されていれば可能です。

 


 

問 見積もり合わせの取り止め 2021年2月

見積もり合わせについて、お教えいただきたいことがあります。

物品を購入することになり、手順どおり「見積もり合わせ伺い」の決裁をとり、「見積もり合わせ」を実施し、数社から見積書を提出いただきました。

 

「見積もり合わせ結果」の決裁を回したところ、上司から、金額が高額すぎるので、購入をとりやめ、修理するように、と指示がありました。

 

見積もり合わせを実施後に、こちらの都合で取りやめることは可能でしょうか。

 

答 見積もり合わせの取り止め 2021年2月

「見積もり合わせ」の途中で、取り止めることは問題ありません。契約成立前であれば、取り止め可能です。

 

「見積もり合わせ」を終えて、正式に発注(契約成立)した後は、相手方が了解してくれなければ契約違反になります。場合によっては違約金や損害賠償金を請求される可能性があります。

 

正式発注した後に取り止める場合は、責任ある立場の人(部長や課長クラス)から相手方へ理由を説明してもらい、契約を取りやめることになります。責任ある立場からの申し入れの方がトラブルを防げます。契約後の取りやめは、官公庁側が謝罪することになります。担当者や係長クラスでは、相手方が納得しないことが多いです。

 

そのため、正式発注の前には、必ず、上司の了承(口頭あるいは決裁)が必要です。大きな組織では、「◯◯円までの契約は、係長クラスが権限と責任を持つ」と内部で決めていることもあります。

 


 

問 見積もり合わせで同額だった場合 2021年2月

お伺いしたいのは、入札において同額が複数者あった場合はくじ引きによる。またその実施方法も理解できました。

 

一方で、随意契約で複数者見積もりを取り寄せた結果、同額が複数者あった場合はどのようにするのが適切なのでしょうか?

 

 

答 見積もり合わせで同額だった場合 2021年2月

少額随意契約を締結するための「見積もり合わせ」では、同額だった場合に相手方を決める方法が、会計法令には定めてありません。このため、公平性に配慮しながら次のように対応します。

 

同額の会社へ連絡し、さらに値引きが可能であれば、2回目の見積書を提出してもらいます。2回目も同額になった場合は、さらに3回目の見積書を提出してもらうか、あるいは、くじ引きで決定します。

 

2回目の値引きが困難であれば、その旨(2回目の見積書提出辞退、担当者名と日付)を記録しておきます。もしメールを使っていれば、メール本文で「これ以上の値引きは困難なため、見積書提出は辞退します。」と記載してもらいます。

 

少額随意契約は、競争入札のように、「必ず、くじ引きで決定しなければならない」という制限はありません。競争入札の場合は、予決令第83条(地方自治法施行令167-9)により「くじ引き」が義務付けられています。開札の結果、予定価格以内で同価であれば、くじ引きしないと法律違反です。再度入札もできません。

 

つまり、見積もり合わせで同額だったときは、再度見積もり合わせを行うか、くじ引きにするか選択することができます。ただし、くじ引きを行うときは、不公平感がないように、当事者に集まってもらい、目の前で行います。実際には日程調整が大変なので、それよりも、2回目の見積書を提出してもらう方が効率的です。2回目も同額になるケースは稀です。ほとんどが2回目の見積もり合わせで決定します。

 


 

問 購入と役務の判断 2020年12月

少額随意契約について、購入なら160万、役務なら100万という線引きがありますが、例えば「エアコン更新」といったエアコン本体(物)と取付工事費(人件費)が一契約に混じっている場合は、160万か100万のどちらで判断するのでしょうか。

 

答 購入と役務の判断 2020年12月

「エアコン更新」のように、エアコン本体(物品)と取付工事が、ひとつの契約に含まれている場合は、それぞれの金額の割合で判断します。

 

契約手続きに入る前に、参考見積書を提出してもらい、金額の内訳を確認します。

 

例えば、合計金額が150万円で、内訳が、本体120万円、据付工事費30万円であれば、「購入契約」と判断します。

 

また稀なケースとして、もし仮に、本体30万円、据付工事費120万円であるとすれば、「工事契約」と考えます。エアコンを特殊な場所(高所や地下深くなど)へ設置するため、電気工事や建築工事が含まれた契約などが考えられます。

 

役務契約は、「新しい物品を設置したり、配線・配管などを敷設する契約」でない場合です。人が、何かの作業を行うだけの契約です。典型例は、清掃、警備、物品の修理、保守契約です。

 

エアコンの更新であれば、「購入契約」か「工事契約」のどちらかになります。多くの場合、本体価格より据付工事費の方が小さいので購入契約と判断できます。

 


 

問 落札決定後の再委託 2019年10月

清掃契約についての質問です。先日、過去の清掃に関する契約書を読み直していたら次のような条文がありました。

 

(再委託の禁止)
第〇条 乙は委託業務の全部または一部の処理を第三者に委託し、又は請負わせてはならない。但し、あらかじめ書面により甲(発注者)の承諾を得た場合は、この限りではない。

 

この条文によれば、乙は第三者(協力会社)へ下請けに出すことが可能と考えられます。そうなると例えば、乙と同じ入札に参加して、落札できなかった業者(仮にA社とする)を下請けとさせることができるのでしょうか?

 

もし、これが可能ならば乙とA社が談合できるのではないでしょうか?

 

また、第三者への委託を計画する場合、その社名を申告するのでしょうか?無記名でも問題ないのでしょうか?

 

答 落札決定後の再委託 2019年10月

 

委託業務について、第三者への再委託、あるいは下請けは、いずれも発注者からの事前承諾(重要事項なので、口頭ではなく文書による承諾)が必要です。これは、架空発注(名義貸し)などを防止するためです。

 

本来、入札へ参加しようとする会社は、「自社で業務を行う」ことを前提にしています。入札参加資格も、契約が履行できるから資格を付与しています。入札へ参加するときには「自社で実施する」と言いながら、落札決定後に、第三者へ委託(再委託)すると、「虚偽」になる可能性があります。悪質なケースは「詐欺罪」で訴えられます。実際に(内部告発で)事件になり逮捕されている事例もあります。

 

例えば商事会社などは、そもそも「総合調整役」なので、入札へ参加するときに、第三者へ委託(再委託)することを明記して書類を提出します。提出書類の中で、「業務実施の流れ図」などを添付し、総合調整役の窓口である商事会社(入札参加者)と、実際に業務を実施する下請け会社の(再委託)関係を明示します。通常は提案書として提出し、官公庁側が書類を審査し、問題なければ再委託を承認します。再委託によって業務を実施する入札参加者は、事前に承諾を得てから入札へ参加します。

 

もし質問のように、落札できなかった会社を「第三者への委託」という形式で下請け等にする場合は、おっしゃる通り、談合の疑いも出てきますし、かなり問題になります。発注者である官公庁側は承諾しないと思います。落札できなかったのに「委託を受ける」という状態は矛盾しており、虚偽の入札をしたとも受け取れます。

 

落札できなかった会社を下請けにするのは、かなり危険です。私なら、「落札できなかった会社へ再委託することは、契約を履行できなくなる恐れがある」と説明し、極めて怪しいので「拒否」します。

また、再委託を計画する場合の社名は必要です。

 

「第三者への業務委託」(再委託)について、発注者の事前承諾を得るときは、具体的な会社名、住所、連絡先電話番号、担当者氏名まで必要です。一般的には「委託の流れ」をフロー図などで作成します。

 

発注から業務実施までの「連絡の流れ」を、実際の担当者名(緊急時の携帯電話番号も記載)を入れて作成します。

 

これは、契約の相手方へ依頼した業務内容を「実際に、誰が、どのように処理しているのか」把握するためです。官公庁の契約では、法令で「監督義務」があります。下請け会社が「信頼できる会社」かどうかもチェック対象になります。反社会的な不良会社なら承諾できないからです。秘密保持の観点からも業務を行う者が明確になっていなければなりません。

 


 

問 見積もり合わせへの参加資格 2019年3月

 

私は官公庁の見積もり合わせへ参加している民間業者です。入札参加資格を有していないと、見積もり合わせへは参加できないのでしょうか?

 

先日、某役所から「入札参加資格を有していない業者へは、見積もり合わせの依頼を出せないかもしれない」と言われました。見積もり合わせを依頼する業者と、入札参加資格は同じなのでしょうか?

 

答 見積もり合わせへの参加資格 2019年3月

国の会計法令では、「見積もり合わせ」へ参加する会社は、入札参加資格を持っていなくても問題ありません。随意契約を締結するときの見積り合わせでは、入札参加資格は関係なく、必須ではありません。ただ地方自治体は、国の法令を基に、独自の条例を制定してます。国よりも厳しい条件で「見積もり合わせ」を実施することもあるかもしれません。

 

見積り合わせは、信頼できる会社を3社程度選んで実施するものなので、そもそも参加資格は不要です。十分に契約を履行できることを確認してから見積書を依頼するので、参加資格は関係ないのです。

 

参考として「入札参加資格」を必要とする理由を解説します。

 

入札手続きでは、原則として「入札保証金」を納めなければ、入札へ参加できません。(入札保証金は、落札決定後に契約を締結しないと没収されます。)しかし、入札保証金を納める手続きは、双方にとって負担になり大変なので、「競争参加資格」を持っていれば「入札保証金の納付を免除」しています。(予算決算及び会計令第七十七条第二号、地方自治体はそれぞれの規則で定めています。)

 

つまり、入札保証金を免除させるために参加資格を必須としています。

 

「競争参加資格」は、事前に関係書類を審査することによって、契約が履行できることを確認し資格を付与するものですが、登録制に近い制度です。審査の結果、不合格になることは、普通ありません。過去に不正を行った会社や、悪徳業者を排除するために参加資格を設けています。これは一般競争入札のような不特定多数の者が参加する手続きでは、一定の条件を附さないと安全な入札を実施できないからです。

 

見積もり合わせでは、最初から安全な会社を選ぶので、入札参加資格は必要ないわけです。

 


 

問 契約の開始時期 2019年3月

現在、清掃作業やレンタル商品を請負いしています。
官公庁が「入札」もしくは、「見積もり合わせ」を行う際、 見積書提出日が、当該業務の委託期間の初日と同じになっている場合が頻繁に見受けられます。

 

例えば次のような状況です。

見積提出期限:平成31年4月1日
委託期間:平成31年4月1日から平成32年3月31日まで

常駐清掃の見積もり合わせの場合、見積書を提出し、請負契約が確定する時点で、委託業務(清掃)を完了しなくてはならない時間的な問題が発生します。この点を官公庁の担当者に問い合わせると、 「新年度(4月1日)にならないと、契約できない」との事です。見積書の提出期限と、契約の開始日を同じ日にしては物理的にも、道理的にも合わないような気がします。

 

答 契約の開始時期 2019年3月

会計法令上の考え方は、次のとおりです。ただ地方自治体は、それぞれで条例を制定しているので微妙に異なる可能性があります。

 

ご質問のような疑問は当然だと思います。本来は、見積書を提出した後に契約が成立し、さらに、その後に委託業務が開始されます。

 

一般的な例

見積書提出期限 3月15日
契約の相手方決定 3月22日(4月1日に正式契約となることを官公庁側が正式に連絡してくる)
契約年月日 4月1日(契約日は予算が有効となる初日)
委託業務開始日 4月1日

 

新年度初日(4月1日)から業務を開始し、契約日も同日になる契約は、通常、単年度予算を使用します。単年度予算の契約年月日は4月1日になります。これは単年度予算が有効になるのは、4月1日からの年度開始後だからです。

 

予算の裏付けがない段階(年度開始前の3月中)は、契約を締結できません。そのため3月中には、正式契約の前段階として、契約の相手方を選ぶ手続きまでを実施します。会計年度が始まる前に(予算が有効でない時期に)実施できる契約手続きは、契約の相手方を選ぶための、見積書の提出依頼や入札(開札)だけです。見積書の依頼文や入札公告の中で「本契約は〇〇年度予算が成立した場合に有効とする。」のように記載し、停止条件付契約であることを明示します。

 

口頭でも「予算が有効になる4月1日付けで契約書の取り交わしを行いますが、契約が履行できるよう準備をお願いします。」と十分に説明しておきます。

 

今回のことは、官公庁の担当者が、「見積書の日付=契約年月日」と勘違いしている可能性があります。予算の裏付けがないと見積書を取れない、と考えているのでしょう。あるいは、見積もり合わせをせずに、御社と随意契約を継続することが確定しているので、書類上だけの手続きとして、見積書の提出を依頼したとも考えられます。つまり、契約成立を確認するだけの書類として「4月1日付けの見積書」を依頼したのかもしれません。

 

ただ、正しい考え方は次の順番になります。特に清掃契約などは、人の手配などの準備期間最低でも1週間以上必要です。

1見積書提出
2契約の相手方決定
3委託業務開始(相手方を決定してから1~2週間後くらいが一般的)

 


 

問 ポケットwifiの契約手続き 2018年8月

役務(随意契約)でポケットwifiの契約(4台分・3年契約)を担当することになりました。また、料金形態等が複雑なことから、上司の勧めにより起案で契約手続きをすることになりました。

 

しかしながら、私の部署では、ポケットwifiを契約した前例がなく困っています。そこで、下記の4点についてご存知でしたらご教示いただけますと幸いです。

 

1.手続き
上司からは、次のように手続きを行えば問題ないと指示を受けましたが、大丈夫でしょうか。
※不足する資料や手続き等ありましたらご指摘ください

①「仕様書」「見積書のコピー(2社以上)」を決裁者に提出
②「ポケットwifiの契約」を起案する。
※添付資料に「仕様書(決裁済み)」「見積書のコピー(2社以上)」「Webフォームでの申込記載例(案)」
③起案が承認されたらWebフォームで申込し、契約を結ぶ。(※契約決議書の作成は不要)
④「ポケットwifi」「納品書」「見積書(原紙)」「請求書」を郵送で受け取る。
⑤検収担当者に「ポケットwifi」「納品書」「見積書(原紙)」「請求書」を提出。
⑥毎月請求書が来るたびに支出依頼書を作成して支払い。

 

2.決裁
起案で「役務・随意契約」の承認を受けると「契約決議書の作成は不要」と教わったのですが、この根拠となる法令等をご存知でしたら教えていただきたいです。

 

3.Web申込み
契約相手が、契約書でなくwebフォームでのみ申込を受け付けている場合、webで申し込みをしても問題はないなのでしょうか。

 

4.申込者名
申込時、次の内容で記載するのは法令上問題ないのでしょうか。
法人名・・・機関名
契約者・・・所属長(部長)
契約担当者・・・自分(職員)

 

答 ポケットwifiの契約手続き 2018年8月

1.手続き

問題ありません。

 

2.決裁

契約の承認については、契約締結権限を持っている人(支出負担行為担当官など)が組織により異なるので一概に言えません。しかし、通常、契約締結してよいかどうかの決裁(承認)は一度でOKです。起案で一度承認受ければ問題ないと思います。

 

3.Web申込み

問題ありません。webの申込み画面をハードコピーでプリントしておくことが必要です。

 

4.申込者名

契約締結権限は、通常、組織の長です。組織内の規則で契約者が部長と定められていれば問題ありません。ポイントは「契約者」が契約権限を正当に持っているか(規則が定められているか)です。

 

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検収・年度区分に関する質疑応答

 

問 委託業務の年度区分 2022年2月

業者への委託業務を令和3年度分と令和4年度分とで切り分けて精算する必要が今後ございます。業者には証憑書類を提出させ所要費用の精算を行なっております。

 

年度を跨る海外業務で、3月出発4月帰国の往復航空賃の請求が旅行会社から委託業者へ4月に到来する場合、費用が発生するのは4月に入ってからなので、新年度分の委託費として精算していいものでしょうか。それとも往路分は旧年度、復路分は新年度と切り分ける必要があるでしょうか。

 

また、業者が現地で使用する機材のレンタル代も上記航空賃のように年度を跨ぐ場合、切り分けの考え方はどのように考えればいいでしょうか。レンタルの事実は3月から発生していますが、レンタル会社から委託業務への請求は4月以降になります。

 

答 委託業務の年度区分 2022年2月

委託業務の詳細がわかりませんので、「年度をまたぐ業務委託契約と部分払いが問題ない」という前提で回答します。

 

国の会計年度所属区分を定めている予決令第二条では、委託業務は第五号に該当します。

 

予算決算及び会計令 第二条
五 工事製造費、物件の購入代価、運賃の類及び補助費の類で相手方の行為の完了があつた後交付するものはその支払をなすべき日の属する年度

 

つまり業者への委託業務契約では、旅費やレンタルなどの「年度をまたぐ切り分け」という概念がありません。委託業務契約は、内訳についての年度区分は不要です。

 

予決令第二条第一項第三号の旅費は、出張者本人へ旅費を支給する場合に適用されるものです。委託業務の中に旅費相当の内容が含まれていても該当しません。

 

また予決令第二条第一項第四号のレンタル代についても、国がレンタル契約を締結するときに適用されるもので、委託業務の一部にレンタル代相当が含まれていても適用になりません。

 

委託業務契約の中に旅費やレンタル相当の内容が含まれていても、予決令第二条第一項第五号により、委託業務がすべて完了した日(検収日)で年度区分します。つまり年度をまたがる海外業務であれば、すべての業務が完了したことを確認した検収日で判断し、新年度予算から支払うことになります。

 

例えば、3月1日から4月10日までの委託業務であれば、検収日は4月10日以後の新年度になるので、会計年度の所属区分は新年度です。旧年度予算からは支払えないのが原則です。

 

ただし数カ月間など長期間継続する業務委託であれば、人件費などの関係(労働基準法では給与は毎月支払う義務があります。)から、毎月支払わなくてはならないことがあります。月払いなどのときは、契約時に各月の支払額を定めておき、3月分は3月31日までに検収を終えて旧年度予算から支払い、4月分からは新年度とすることもあります。最初の契約時に支払金額を定めずに月払いしなくてはいけないのであれば、その月までに終えた業務内容の分を支払います。旅費やレンタル代も、当該月の費用が判明していれば支払います。費用が未確定なら次月へ繰り越すこともあります。

 

最後に繰り返しになりますが、「年度をまたぐ業務委託契約が可能か」、「業務委託契約の部分払が可能か」は別問題です。原則として単年度予算は、会計年度を超えて契約できません。

 


 

問 寝具借り入れ契約の年度区分 2021年3月

私の職場では当直業務があります。職員の仮眠用に布団・シーツ類の賃貸借契約を毎年締結しています。

 

その際、契約年度を「4月1日~3月31日」に設定しているのですが、寝具類の特性上どうしても最終日に使い終わるのが翌年度の4月1日になります。(業者への返却も同様です)

 

契約は会計年度内に履行完了しなければならないところ、(実務上やむを得ないとはいえ)どのような理屈で3月31日の履行を説明すべきか悩んでおります。どのように考えたら良いでしょうか?

 

答 寝具借り入れ契約の年度区分 2021年3月

ご質問の「布団・シーツ類の賃貸借契約」は、予算決算及び会計令 第二条 第一項 第四号の「使用料」に該当します。つまり年度区分は「使用した期間」で判断します。

 

3月分であれば返却日に関係なく旧年度予算で支払います。地方自治体は、地方自治法施行令第百四十三条で同じように定められています。

 

予決令第二条 第一項 第四号抜粋
四 使用料、保管料、電灯電力料の類はその支払の原因たる事実の存した期間の属する年度

 

3月31日まで使用し、給付の完了の確認(検収)日や返却日が4月以降になっても、旧年度の予算から契約代金を支払います。

 

レンタルなどの使用料は、検収日や返却日は考慮する必要ありません。

 


 

問 土地賃貸借契約の検収方法 2020年4月

国有地土地賃貸借契約において契約期間三年間の内一年目の支払いを行う場合 検査官として検収確認はどのようなことを行えばようのでしょうか。

 

 

答 土地賃貸借契約の検収方法 2020年4月

国有地土地賃貸借契約において、契約期間三年間の内一年目の支払いを行う場合の「検収」についてお答えします。

 

賃貸借契約は、予決令第二条 第一項 第四号に基づいて、「期間」として年度区分されます。購入契約のように「検収日」で歳出年度が区分されるものではありません。

 

そのため、検収については、次の手順で行います。

 

支払い対象となる賃貸借期間が経過した後、10日以内に検収します。(遅延防止法第五条)契約どおりに履行されたか確認して、検査調書の作成、あるいは「完了通知書」などの余白欄に「検収日と検収サイン」を記載します。

 

通常、賃貸借契約の検収は、「正常に借りていた」事実があれば問題ありません。契約書に基づき、実際に使っていた状況(使用していた人など)を確認することになります。契約金額が大きければ、実際の写真なども撮っておくと良いでしょう。

 

検収は、「支払対象の部分」を確認することになります。

 


 

問 新聞の会計年度所属区分 2018年4月

新聞の年度所属区分の記事に記載されていることについて質問がございます。新聞の検収日については、擬制的に検収日を設定することが認められているとのことですが、それが記載されている根拠のようなものはあるのでしょうか。

 

平成30年度末は土曜日でしたが、当庁においては、新聞の検収のために出勤している者もいたようです。

 

休日出勤する必要がないのであれば、それにこしたことはないと思っております。何卒、よろしくお願い致します。

 

答 新聞の会計年度所属区分 2018年4月

新聞の検収日については、かなり昔ですが、「会計検査情報」の質疑応答欄に記載されていました。

 

新聞の検収日を擬制的に3月31日とすることが許容されているのは、一般社会において、誰もが納得できるからです。土日の休日でも、自宅に配達される新聞を読むことができます。

 

逆に、新聞の検収のために休日出勤するというのは、勤務日を振り替えるにしても、国民の税金を使用するという観点から避けたいものです。(休日手当を支給したり、休日の振替手続きだけでも人事担当者へ負担をかけているわけです。)

 

本来、会計検査院や財務省などから、明確な運用通知が欲しいものです。当然配達されている新聞を確認するために、わざわざ休日出勤して、休日手当を支払っているのであれば本末転倒です。

 

以下の質疑応答が過去にありました。著作権の関係で全文は記載できませんが、参考に一部だけ抜粋します。

「会計検査情報」昭和62年7月2日 第1720号

タイトル「新聞購読料の年度所属区分及び検査確認について」

(略)例えば、三月三一日納入で検収が四月一日に行われたとき、当方の場合、当該契約期間の翌月の初日に検収を行っていますが、その検収の日付は擬制的に前月の末日の日付を記入しており、(略)このように検収日付を擬制化してもよいものでしょうか。(略)

 


(略)新聞の購読契約のように全体として単一の基本的債権関係が存し、これより時間的に区切られた個々の部分給付をなすべき支分的債権関係が派生するとみられるような契約の場合、当該契約期間の末日又は翌日に、全体の債権関係につき検査を行うとすることも、適正な予算執行の管理に支障を及ぼさない限度内にある限り認められるものと考えられます。(略)

 

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会計検査・内部監査に関する質疑応答

 

問 会計検査院の実地検査対応 2018年7月

会計検査院に求められた書類がない場合はその旨は伝えてよろしいのでしょうか。また、虚偽の資料を提示し、それが発覚したらどうなるのでしょうか。

 

答 会計検査院の実地検査対応 2018年7月

会計検査院への対応について、次の2点について回答します。ただし、内容によって責任問題に発展するリスクがあるので、必ず、上司に相談してから会計検査院の調査官へ回答してください。

 

1.求められた書類がない場合

書類がない場合のケースとして、当初は存在していたが途中で紛失した場合と、当初から存在しなかった場合があります。会計検査院の調査官からの質問に対しては事実どおりに回答するのが良いです。

 

紛失した場合・・当初は作成したのですが保存時に他の書類に紛れ現在は見当たりません。

 

最初からない場合・・ご質問の書類はございません。

 

会計書類は、「計算証明規則」によって書類の保存が義務付けられています。重要書類が存在しない場合は「書類紛失理由書」などの経緯を記載した書類提出を求められることがあります。会計実務で担当者個人の責任問題になるケースは、悪質な事務処理で100万円以上の大きな国損を与えたような場合です。普通に真面目に事務処理していて、会計法令の理解不足やうっかりミスで書類を保存しなかったのであれば、注意を受けるだけです。

 

2.虚偽の資料を提示すること

気持ちは理解できますが、虚偽の資料を提出してはいけません。

 

会計実地検査は、調査官の個性によって検査手法が異なります。意地の悪い調査官は、相手を追い詰めるように質問攻めにしてきます。売り言葉に買い言葉的になることもあります。しかし、国民の税金を使用している以上、その場しのぎで虚偽の回答をすると、精神的に大きな負担になります。特に書類を書き換えたり、架空の書類を作成することは止めましょう。ミスは素直に認め、将来改善する方向にしましょう。嘘は、どこかで必ずばれます。

 

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外部資金に関する質疑応答

 

問 科研費は国際入札の対象外 2022年1月

記事の中で、「科学研究費補助金は、研究者個人への補助金なので、国際入札は適用されません。」という記述があったのですが、根拠となる通達や公式文書等を教えていただけますでしょうか。他にも政府調達の対象外となる予算等の条件があるのか知りたいためです。

 

 

答 科研費は国際入札の対象外 2022年1月

科研費が国際入札の対象でないことを、わかりやすく記した通知や文書はないと思います。

 

政府調達に関する協定は、外務省のサイトにも記載されていますが、「協定が適用される調達機関」が明記されています。中央政府、地方政府、独立行政法人などが対象です。つまり調達機関の予算を使って契約する場合が該当します。組織の予算が対象です。

 

WTO政府調達協定

 

一方、科学研究費補助金は、「科研費ハンドブック」研究者用2021年版(P7)にも明記してあるように「科研費は、研究者個人の独創的・先駆的な研究に対する助成を行うもの」です。応募資格も研究者個人の資格ですし、補助事業者として研究代表者が応募します。審査も、研究者個人の研究内容を審査します。交付決定通知も研究者個人あてです。

 

科学研究費助成事業
科学研究費助成事業は、人文学、社会科学から自然科学まで全ての分野にわたり、あらゆる「学術研究」を格段に発展させることを目的とする「競争的研究費」であり、ピアレビューによる審査を経て、独創的・先駆的な研究に対する助成を行うものです。

 

また、「科研費FAQ」 R3.10版(P15)の質疑応答では、科研費が「組織の予算でない」ことを次のように明記しています。

 

【Q4204】 直接経費を、大学の「預り金」として大学が保有する銀行口座で管理しても差し支えないでしょうか?
【A】 大学の「預り金」とすることは可能ですが、科研費管理のための専用の銀行口座によって管理してください。

 

【Q4207】 地方公共団体の研究機関において科研費(直接経費)の送付を受ける場合、地方公共団体の収入に計上し、予算化する(県の口座に入れる)必要があるでしょうか?
【A】 科研費は各研究機関で管理していただきますが、各研究者に対して交付されるものですので、地方公共団体の収入、予算に計上する必要はありません。

 

上記のQAでもわかるように、科研費は、研究者個人へ交付する研究費であり、研究機関(組織)はお金の管理を行うだけです。簡単にいうと、「科研費は研究機関の予算には含まれない」わけです。極端な言い方をすれば、「科研費は研究機関のお金ではない」という考え方です。

 

そのため機関(組織)を対象とした国際入札には該当しないのです。

 


 

問 賃金の合算使用は可能か 2018年1月

科研費の使用について大変参考になりました。特に合算使用の箇所で,クリップの例はなるほどと思うところがありました。さて,質問ですが物品についての残額使用は理解しましたが,人件費については当てはまるのでしょうか。通常は12月頃より人件費の試算をして大体の金額は確保するのですが,例えば,遡及して賃金を支払う場合,予算を超過してしまうことから,使用制限のない経費(運営費交付金等)を使用することは可能なのでしょうか。

 

答 賃金の合算使用は可能か 2018年1月

科研費などの競争的資金の使用ルールについては、平成28年6月から内閣府に窓口が設置され、研究者等からの改善要望を取り入れた弾力化が進められているようです。

 

人件費の取扱いについて、将来的には、弾力的な使用が認められる可能性もありますが、現時点(2018年1月)では、合算使用は問題があると考えます。

 

主な問題点は次のとおりです。

 

・科研費は、補助事業として目的が制限されていて、雇用する際には労働条件通知書に「補助事業の内容や勤務日等」が明記されること。

 

仮に、科研費が不足した月分のみ合算使用で賃金を支払ったとき、科研費を使用した賃金部分について、それを客観的に証明できる資料(科研費の事業を行なった勤務時間の証明)の整備は困難です。このため、単なる予算消化を疑われてしまうリスクがあります。

 

原則として、科研費で雇用する際は、人件費を十分に確保する必要があります。超過勤務など予想できない部分も、予算を十分確保しておき、余ったら返還する方が安全です。

(個人的な感想ですが、科研費はとても使いにくいです。せっかく補助金という名前なのですから、運営費交付金で不足する部分に、自由に使いたいものです。)

 

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営業担当者向けの質疑応答

 

問 特定メーカー提案の仕様書 2020年9月

私の自治体では、ネットワーク機器及びPC類などの数百万〜数千万の指名競争入札において、A社が出した仕様書がそのまま採用され、細かい箇所でA社以外応札できないような仕様が組まれています。

 

例えば、あるPCメーカーしか満たすことができない、必要とは思えない仕様を盛り込み、質問状でそれを指摘しても回答は常に不可です。

 

既存システムがA社から納入されているため、担当者がA社に仕様書を依頼し、A社が縛った仕様書でA社が落札するという大変不健全なループに陥っています。

 

このような状況下での一社入札は問題ではないかと市の担当者に掛け合った事もありますが、問題ないとの回答です。

 

当記事を拝見し、やはり指名競争入札における我が市の現状は正常ではないと思います。何か打開できるようなアイデアはないでしょうか。大変不躾ですが、このままでは弊社含めA社以外の競合他社はジリ貧です。

 

 

答 特定メーカー提案の仕様書 2020年9月

ネットワーク機器やPC類の入札で、お困りのようですね。

 

おっしゃるとおり、仕様書の中で「不必要と思える条件」で縛られてしまうと、競争入札ができなくなってしまいます。また契約実務担当者は、お気に入りの会社へ、仕様書の原案を丸投げすることもできてしまいます。(国際入札の対象であれば、協定「第十条 技術仕様及び入札説明書」で明確に禁止しているので、正式に苦情相談窓口へ訴えることが可能です。)

 

内閣府の相談窓口

 

CHANS:政府調達苦情処理体制 - 内閣府
政府調達苦情処理体制CHANS(チャンス)は、物品及び建設サービスを含むサービスの政府調達において、内外無差別の原則の下、政府調達制度の透明性、公正性及び競争性の一層の向上を図るため設けてられています。

 

実際の仕様書を見てない状況では、正確に答えることは難しいので、一般的な答えになります。

 

A社と自治体が癒着していない限り、自治体の契約担当者は(良識があるなら)、「複数社で競争して欲しい」と思っているはずです。(もしA社以外を排除しようとしているなら、癒着している可能性ありです。)

 

自治体の担当者へ質問するときに、次のいずれかの方法を試してみてください。

 

◯入札方法や、仕様書の記載内容を批判するのではなく、「代替手法」や「代替機能」を提案します。仕様書の目的は、本来、機能を求めるものです。同じことが実現できるなら他メーカーでも問題ないはずです。そして、もし実現できなければ、仕様書どおりのものに、無料で入れ替えるなどの保証までつければ、拒否できないはずです。

 

◯あるいは、次回の契約更新(機器入れ替え)のときに、仕様書の原案作りから参加させてもらいたいと依頼する。落札できなくても無料で資料作りに協力したいこと、そして「もっと安く良いシステム」の仕様書を提示できることを説明する。当然ながら他社が参入できる仕様書であることが前提です。

 

つまり、仕様書などの入札手続きに関することを批判してしまうと、「問題ない」という回答しか得られません。結果的に門前払いになります。そもそも、官公庁の契約担当者は、問題ないと判断して入札を実施しています。

 

なお、最後の手段としては、地元の議員へ相談する方法や、公益通報制度を利用して、癒着が疑われていることを通報する方法もあります。ただし逆に、客観的な証拠を示さないと、クレーマーと見做され「取引停止」になるなど、かなりリスクがあります。第三者へ訴えるのは、ホントに最後の手段です。

 


 

問 1社しか参加できない入札 2020年7月

初めまして。IT企業で入札案件の担当者をしている者です。

どの省庁にも見た目は「最低価格落札方式の入札」ですが、仕様書を読むと1社しか参加できない「実質的な随意契約」のような案件が山ほどあります。

 


・A社の◯○を使用すること ⇒ A社以外は有償になるので価格で絶対に負ける

・システムのテスト運用会社が本システムの入札に参加できる ⇒ システム構築などの経費が掛からないため、価格で絶対に負ける

 

この様な実質的に1社応札になるような案件が随意にならないのは、単純に随意に持っていくのが大変(面倒)だからなのでしょうか。

 

また、上記の様な案件で落札率99.5%近くを複数叩きだしている会社が数社あります。違法性は無いと思いますが、納得は行きません。この様な入札は無くならないのでしょうか。

 

答 1社しか参加できない入札 2020年7月

実質的に1社しか参加できない入札案件が多いとの御指摘、たしかに IT 関係では、その通りだと思います。

 

入札を実施する担当者としては、まず第一に、「リスクのない」契約を考えます。国民の税金を使うので、契約を締結した後に、「やっぱりできませんでした。」では済まされません。特にソフトウェアを含む契約では、既存システムとの互換性を最優先します。

 

ソフトの互換性は、実際に動かしてみないとわからないことも多く、(市販されている製品でさえ、バグが無数にあります。世の中に完璧なソフトは存在しません。はるか昔、私もC言語でソフト開発してましたが、バグ取りが永遠の課題でした。)そのため、少しでもリスクを減らそうと、安全を考えて特定のメーカーを指定することがあります。

 

御指摘にあるように、「実質的に1社なのに、なぜ入札を行うか」ということですが、会計法令(内部規則なども含む)で「入札の対象」になっているからです。契約実務担当者としては、随意契約の方が楽です。入札を実施する方が、ずっと大変です。

 

しかし入札対象の契約について、最初から競争性を排除した随意契約を締結すると、批判の的になってしまいます。それと事前に「この契約内容では1社に限定されるだろうな」と予想されても、実際に入札してみないとわからないからです。もしかしたら、複数社が安く参加する可能性も排除できません。特にソフトウェア開発は海外企業も強いです。

 

最後に、「最初から特定の会社が落札する」ような入札案件をなくす方法ですが、次の方法が考えられます。

 

仕様書を作成する段階から複数社が参加し、いろいろな会社が参加できる仕様内容を平等(公平)に検討する方法です。これが理想なのですが、とてもむずかしいのです。

 

公平な仕様とするためには、想定しているIT会社の技術情報を他社へ公開し、これから入札へ参加したいと思う会社と一緒になり、システムの仕様書を作成することになります。さらに、仕様書を作成していることを公開し、作成途中に、他にも参加したい会社があれば、いつでも参加させて、すべてが平等に参加できる仕様書を作成することになります。

 

実際には、この公平な仕様書作成が不可能なので、特定メーカーを指定するような仕様になっています。

 

官公庁側の契約実務担当者は、ITの専門家ではないので、各社の意見を取り入れた仕様書のとりまとめや作成は不可能です。まとめきれません。どこかの会社の技術者が、「落札できなくても公平な仕様書を作りたい」と申し出てくれないと、実現は困難かと思われます。

 


 

 

問 自治体への営業方法 2020年5月

メーカー営業をしており、物品の購入で自治体への出荷があります。直接自治体へ納品することは無いので製品の宣伝をしたいのですが、このような状況で多忙の中出向いても迷惑かと思いますが、電話→カタログ送付という形は特に問題は無いでしょうか?

 

答 自治体への営業方法 2020年5月

「電話→カタログ送付」は、特に問題ありません。

 

官公庁の契約実務担当者が興味を持つのは、「値引率」と「見積もり合わせへの参加」です。商品の宣伝だけでなく、「値引率」(他社より有利なポイント)のわかる資料を同梱できると、さらに良いです。

 

また、その資料の中に「見積もり合わせ」へも、積極的に参加したいことをアピールする文面を添えると効果的です。

 

官公庁の契約実務担当者は、有利な情報であれば、意外に覚えています。私は、後で使えそうな有用な資料は、常に大切に保管してました。「今は、他の仕事で忙しくて使えないけど、後でお願いしてみよう」と思うものです。

 

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その他の質疑応答

 

問 補正予算の準備 2021年8月

補正予算っていつごろから始められるのでしょうか?いろんな本を読んでも実務的なことが書いておらず、モヤモヤしております。

 

答 補正予算の準備 2021年8月

国の補正予算を準備する時期は、その時の政権によって左右されます。新聞やテレビなどで、「補正予算を検討している」という情報が入ったときに準備を始めます。政府や与党の動きを察知して準備することになります。

 

2020年からは、新型コロナウイルスの感染対策に関係する予算の補正が多いので、頻繁に補正予算を編成しています。今は一年中補正予算を検討していると思います。

 

通常のときであれば、景気対策として10月くらいから補正予算の準備を行うことが多いです。ただ財務省や本省の予算担当者が、どのタイミングで動き出すかに左右されます。

 

現場の予算担当者としては、いつでも補正予算の要求ができるように、いくつかのテーマで要求資料を準備しておくことが重要です。補正予算は、与党の政策に沿った内容で準備します。

 

なお、実際に要求資料を作るときは、過去の資料が役立ちます。時間のあるときは、過去の概算要求資料や補正予算関係資料を読んでおきましょう。

 


 

 

問 予算の査定と歩切り 2021年6月

サイトの記事の中で『一般的に、予算要求した結果、満額の回答(査定)を得られることは少なく、通常は、7割とか8割など減額の査定を受けます。』とありますが、「減額の査定」とは、「歩切り」とどのように違うものなのでしょうか?

 

 

答 予算の査定と歩切り 2021年6月

「歩切り」と「予算の査定」は、確かに「適正な価格を無視した値引き」という意味では同じように見えるかもしれません。

 

しかし予定価格を設定するときの「歩切り」は、公共工事の発注の時には違法行為です。無理やり安い金額で契約することは、手抜き工事などの温床になってしまいます。

 

一方「予算の査定」は、個々の契約を査定するものではなく、事業費全体の予算を対象に減額するものです。事業費の中には、職員の人件費や光熱費の他に、多数の契約が含まれています。要求額よりも予算の査定が厳しければ、いくつかの契約を断念したり、経常予算(使用目的が限定されていない予算)から補填して契約することになります。(歩切りしないように契約することになります。)

 

一般的に、予算を配分する対象数が多ければ、査定は厳しくなり、予算額は少なくなります。

 

つまり、同じように値引きを意味しますが、「歩切り」は実際の工事契約のときに問題になります。「予算の査定」は、契約とは直接関係なく、事業費全体が減額されるものです。契約手続きを行うときは、無理な値引きにならないよう、どの契約を優先するか検討することになります。

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