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運搬契約が国際入札に該当するかの判断、引っ越しを計画するときの注意点

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入札
国立競技場
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職場の引っ越しなどで契約が必要になることがあります。広い事務室になると、かなり高額な契約になります。引っ越し契約や運搬契約が、国際入札に該当するか判断する方法です。官公庁が実施する高額な入札は、「政府調達に関する協定」が適用され、国際入札になります。

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「政府調達に関する協定」に基づく国際入札

 

国際入札は、官公庁が実施する一般競争入札の中で、契約金額が高額なものが対象になります。海外の企業が入札へ参加できるようにする制度です。一般競争入札は、日本語で入札公告が掲載されますが、国際入札になると英文の概要も併せて公開されます。

 

「政府調達に関する協定」という国際条約に基づく契約手続きです。さまざまな呼び方があり、国際入札の他に、国際調達契約、特定調達契約、政府調達契約、特例政令などともいいます。ここの解説では、一番わかりやすい表現として「国際入札」を使用します。

 

国際入札は、一般競争入札の手続きに加え、さらに細かい手続きが必要になります。日本では政令として、「国の物品等又は特定役務の調達手続の特例を定める政令(特例政令)」が1981(昭和56)年 1 月から施行されています。地方自治体は、 「地方公共団体の物品等又は特定役務の調達手続の特例を定める政令」が、1996(平成8)年1月に施行されています。

 

通常の一般競争入札は、日本国内の企業が主な対象です。国際入札は、海外の企業も入札へ参加できるよう、入札公告期間を長期化したり、郵便入札も認めるなど、遠隔地の海外企業が参加できるよう配慮しています。

 

国際入札になると、やたらと手続き期間が長くなります。海外企業が参加できるよう、待機期間が長いのです。例えば、通常の入札公告期間は 10 日以上ですが、国際入札では 50 日以上必要です。入札公告掲載期間が 5 倍になり、ほぼ 2 ヵ月待機するわけです。ものすごく手続きに時間がかかるイメージです。

 

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国際入札の対象は契約内容と基準額で判断

 

国際入札は、1 年ほど前から契約手続きの準備を始めます。ひとつひとつの手続きの待機期間が長いので、契約締結までに半年ほどかかります。信じられないほど長期間の入札手続きになります。(通常の一般競争入札は2ヵ月ほどです。国際入札に該当すると、契約締結日が3倍遅くなるわけです。)

 

今回は、運送契約や移転契約などの運搬契約が、国際入札の対象になるか解説します。

 

新しい建物への引越しや、広い事務室や研究室を移転するときは、専門業者と契約しなければなりません。研究室などの移転では、机や椅子の他に実験台や様々な研究設備も運搬することになります。重くて素人では運べません。

 

そのため、一般家庭の引越しとは比較できないほど高額な契約になります。引越しの見積金額が、 2 千万円とか 3 千万円になることも珍しくありません。当然ながら、ほとんどが入札手続きになります。

 

契約金額が 1,000 万円を超えそうなときは、まず国際入札に該当するか検討します。国際入札に該当すれば、契約手続きが長期間になるので、実際に間に合うのかスケジュールを確認する必要があります。単年度予算であれば、年度末までに運搬作業が完了しなくてはいけません。契約日と完了期限を検討し、年度内に引っ越しが終わるのかの確認が必要になります。もし国際入札に該当しそうなら、 8 月くらいまでに仕様書を作り上げて、入札公告を官報へ掲載しないと、年度内に引っ越しを終わらせることが厳しくなります。

 

国際入札は、一般競争入札の中でも高額なものに適用されます。国の場合、令和 5 年度は 1,500 万円以上が対象です。参考として過去の国際入札基準額を一覧にしました。

 

政府調達協定(その他のサービス)基準額の推移

 

令和 4・ 5年度 1,500万円(地方政府は3,000万円)
令和 2・ 3年度 1,500万円(地方政府は3,000万円)
平成30・31年度 1,500万円(地方政府は3,000万円)
平成28・29年度 1,600万円(地方政府は3,300万円)
平成26・27年度 1,300万円(地方政府は2,700万円)
平成24・25年度 1,600万円(地方政府は2,500万円)

 

最新の基準額は、外務省のサイトで公開されています。

 

外務省トップページ > 申請・手続き > 調達情報 > 政府調達協定及び我が国の自主的措置の定める「基準額」及び「邦貨換算額」

 

政府調達協定及び我が国の自主的措置の定める「基準額」及び「邦貨換算額」

 

私の記憶によると、国際入札導入当初の昭和55年は、基準額が 3,000万円を超えていました。国の機関だけが対象で、当時はまだ、地方政府は関係ありませんでした。現在(令和5年度)は、最初の頃に比べて国際入札の基準額が半分以下に引き下げられています。外交政策ということもあり、頻繁に基準額や内容が変わります。最新の情報を確認しましょう。

 

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運搬契約が国際入札に該当するかの判断は、公道を走るか

 

運搬契約が、国際入札の対象になるか判断するときは、CPC 分類を調べます。

 

外務省のサイトに、政府調達に関する協定の訳文が掲載されています。その中の CPC 分類として次の項目があります。

 

七一二

その他の陸上運送サービス(七一二三五(郵便の陸上運送)を除く。)

 

改正協定附属書I付表5に掲げるサービス及び付表6に掲げる建設サービス

 

この陸上運送サービスに該当するか判断することになります。
陸上運送サービスとは、簡単にいうと、運搬するトラック等が「公道を走るかどうか」で判断します。少しでも公道を走って運搬するのであれば、国際入札が適用されます。

 

国際入札の手続きは、 1 年前から準備に入らないと、手続きがきつくなります。仕様書などの書類作成が間に合わず、慌ててしまいます。国際入札に該当する契約になるのか、早い時期に検討し、準備も早い時期に始めなければなりません。

 

なお注意して欲しいのは、国際入札は、外交政策のひとつとして実施されており、頻繁に運用方針が変更になります。外国からの要望(政治的圧力)などで、簡単に内容が変わってしまいます。実際に高額な契約が予定されるときは、該当するかどうか、事前に所掌課へ確認しましょう。

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