官公庁の競争入札では予定価格が必要です。予定価格が落札の上限価格なので、予定価格がないと落札できません。会計検査院も予定価格を重点的にチェックします。会計検査院は批判だけでなく、会計手続きを正確に行えるよう事前指導してもらいたいものです。
予定価格を作成することの重要性
官公庁が入札を実施するときは、予定価格の作成が義務付けられています。予定価格の作成を怠ると法令違反です。(予決令第七十九条、地方自治法第二百三十四条)
競争入札では予定価格を上限にして契約の相手方を決定します。予定価格を作成しなくても契約の効力には影響ありませんが、内部的には違反行為です。特定の企業を落札させて賄賂をもらうなど悪質なケースになると、契約を担当した職員は懲戒処分を受けます。
予定価格の作成を忘れても、通常は上司に怒られ注意されるだけです。しかし予定価格の取扱いを間違えると、予定価格漏洩で犯罪になる危険性があります。
予定価格の作成は重要な事務手続きですが、具体的な作成方法を学べる書籍は存在しません。理論的、抽象的な考え方を記述した参考書が市販されているだけです。
本サイトは、工事契約以外の予定価格について作成方法を具体的に解説し、官公庁で働く人たちの悩みを解決することを目的としています。予定価格以外の事務手続きについても掲載してます。
私自身、30年以上会計実務を経験しました。実際に契約を締結した経験は数百件です。入札実施経験も同じくらいです。東京大学という世界最先端の研究設備を扱う職場でしたので、あらゆる契約に関してノウハウを持っています。
会計検査院による実地検査では、予定価格の積算内容を細かくチェックすることが多いです。そのほとんどは明確な根拠資料が保存されているか確認するものです。客観的な資料を用いて積算しているか、対外的に説明できる資料が保存されているか、という視点です。
本来なら、チェックする側である会計検査院自体が、予定価格の正しい作成基準を明確に指導すべきです。作成方法の模範例を公開し、官公庁の契約担当者が判断に迷うことなく効率的に仕事ができるよう指導してもらいたいものです。
会計実地検査で批判し指摘するのならば、適正な書類作成ができるよう事前に指導する義務があると思うのです。しかし、なぜか会計検査院は、事前指導はせずに結果のみを批判するという組織です。
積極的な会計検査院を期待したい
1992年頃、会計検査院の人たちと雑談しているときに、「会計検査院は、予定価格の作成方法などを事前に教えてくれないのですか?」と純粋な気持ちで聞いたことがあります。
すると、若い会計検査院の調査官は怪訝そうな表情で言いました。
「だって、会計検査院が事前に予定価格の作成方法を教えてしまえば、その通りに予定価格を作ったと言われてしまい、会計検査院として指摘できないでしょ。指摘ができなければ、会計検査院の存在意義がなくなってしまうでしょ・・」と論理的に説明され、思わず納得してしまったことがあります。
そのとき調査官は、「会計検査院の運営経費を超える指摘事項を見つけないと、再び会計検査院不要論が世間に起きるしね。」と真顔で言ってました。
当時は、私も、「なるほど・・」と思いました。
しかし会計検査院は、国民の税金が適正かつ効率的に使用されるよう事前指導を行なう方が国民の役に立つはずです。税金の無駄使いも少なくなり、官公庁の業務が効率的になるはずです。
会計検査院は、実地検査を行うことで全国の官公庁の契約書類を見ています。会計書類や情報も法令に基づいて収集しています。例えば予定価格を設定する際に用いる値引率のデータ情報などは使えるようにして欲しいものです。効率的な官公庁の事務手続きを誰もが望んでいます。
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