(今、何を言ったのか理解できなかった・・・)
(聞き返すのも悪いし・・・)
こんな経験はありませんか?
初めての職場では、言葉さえわかりません。普通に話している言葉が理解できないのです。まるで外国に行ったようです。
特に官公庁では、独特の用語が日常的に使われます。初心者向けに事前に理解しておきたい基礎用語を集めました。
本書籍は、官公庁の会計担当者が日常的に使う基礎用語をわかりやすく解説しています。初めての職場では、用語そのものがわかりません。最初の1ヵ月は、周りの人が話している言葉が理解できず、まるで外国にいるようです。仕事を覚えようとしても、話している言葉さえわからないのです。覚える以前の問題です。
わからない用語は、そのままにせず理解するように意識しましょう。事前に基礎用語を学んでおけば、スイスイ仕事が理解できるようになります。
この書籍を読んで、もし、わからない用語があればチェックしておきます。繰り返し確認すれば効率的な学習になります。英単語を覚えるときに使った単語帳のようなイメージで使いましょう。ベテランの人は、自分の知識を再確認するために活用頂けます。電子書籍と紙の書籍の両方があります。紙の書籍はペーパーバックを選択してください。印刷経費の分だけ少し高くなっています。
紙の書籍(ペーパーバック)の目次一覧

基礎用語集 目次
以下は書籍の一部サンプルです。
あ 行
合議(あいぎ)
起案文書の決裁を受けるときに、直属の上司だけでなく、他の部署の押印も受けることです。間接的に影響を受ける部署への情報提供として、合議(あいぎ)することが多いです。決裁印は、承認したことを示す押印ですが、合議は、「起案文書を見た、情報を把握した」という意味です。 そのため決裁欄とは違う欄に押印します。軽易な決裁では余白に押印することもあります。一般的な読み方の「ごうぎ」は、みんなで相談して決めることなので意味が異なります。
合見積(あいみつ)
合見積書、相見積、相見積書ともいいます。随意契約を締結するときに、3社から取り寄せる見積書のことです。見積書を比較して最も有利な金額を提示した会社と随意契約を締結します。ただし見積書の比較検討は、「見積もり合わせ」(みつもりあわせ)が正しい呼び方になります。合見積は、契約を締結する会社を最初に決めてしまい、その相手方の会社に依頼して他社の見積書を取り寄せることを意味することがあります。価格調整した他社の高い見積書を提出するのであれば、合見積は談合と同じ違反行為です。
アフターサービス
購入した物品などが故障したときに、すぐに修理などの対応をすることです。物品購入契約だけでなく、製造契約や工事契約でも同じです。契約条件に明記しておく必要があります。契約内容にもよりますが、購入後1年以内は無償修理のことが多いです。
案文作成
正式文書を作成する前に、「決裁を受けるための書類」を作成することです。原議書(稟議書、起案文書)へ案文として添付します。契約書や通知文書などの案文作成が多いです。文書のタイトルに(案)を入れて、「契約書(案)」のように作成します。
委嘱簿
会議へ参加する委員を、正式に選ぶ手続きです。高額な設備を決定する仕様策定委員会などのように、責任が発生する委員会では、任務の範囲と責任を負うことを了解してもらうために、名簿へ押印してもらいます。意見を聞くだけなどの責任の発生しない会議では、省略することが多いです。
委託契約(委託業務、委託事業)
民法で定める準委任契約です。準委任契約は、契約締結権限の委任のような法律上の委任ではありません。委託契約は、何かの業務を行ってもらい、その対価として代金を支払います。警備契約、清掃契約、保守契約、研究開発委託契約などがあります。完成品を必要とする工事請負契約や製造請負契約とは異なります。委託契約では完成品を求めません。
1社入札(1者入札、1社応札、1者応札)
入札参加者が1社のみで、競争相手のライバルが存在しない入札です。特殊な研究用設備の購入契約で多い事例です。1社入札は談合とは関係ありません。ライバルが存在しないため価格競争が弱くなると思われがちですが、入札を実施するときには必ず予定価格が作成されており、金額の妥当性も確認されるので問題ありません。ただし指名競争入札で1社入札となった場合は、指名基準が問題になります。指名競争入札を取りやめて一般競争入札へ切り替える必要があります。
一般競争入札(一般競争契約)
官公庁が契約の相手方を選ぶときに、不特定多数の参加者を対象として、価格競争によって決定することです。あらかじめ10社程度を選定する指名競争入札とは異なります。一般競争入札では、手続きのすべてを法令に基づいて進めるため、契約締結までに2ヵ月ほど必要です。
委任(委任状)
法律で定められた権限を、別の人へ委ねることです。例えば官公庁が実施する入札では、法人を代表する社長のみが入札へ参加できます。しかし実際には社長自らが参加することは珍しく、通常、営業部長や営業担当者などが入札へ参加します。契約権限を持たない人が参加するときは、社長から契約権限を委任したことを証明する委任状が必要になります。
委任経理金
2004(平成16)年に国立大学が法人化されるまでの寄附金です。個人や民間企業からの寄附金は、いったん歳入として国庫へ入り、文部省から奨学交付金として国立大学へ支出されました。そして国立大学内では委任経理金として受け入れて、歳入歳出外現金として使用していました。つまり、お金の名称が、寄附金 → 奨学交付金 → 委任経理金 と変わりました。まるで出世魚のようなお金でした。2004(平成16)年の法人化以降は、国立大学が直接受け入れるので、寄附金という名称のみです。昔の委任経理金という名称はなくなりました。
違約金
契約に違反したときに支払うお金です。契約書で事前に計算方法を定めておきます。債務不履行などの契約違反があったときは、損害額の証明などを必要とせずに請求できます。債務不履行などで違約金の他に損害賠償金を請求するときは、契約書に明記していないと請求できません。損害賠償金は、損害額を証明する必要があります。なお労働契約法では、事前に違約金を定めることは法律違反です。
印刷契約(印刷製本契約、印刷製造契約)
印刷製造契約は、市販されている書籍や雑誌などを購入するのではなく、印刷物を新しく作成する契約です。原稿から版下を作成し、印刷して製本します。一般的に部数が多くなれば一冊当たりの単価が安くなります。印刷契約は、役務契約ではなく製造契約です。
印紙(収入印紙)
文書を作成することによって課税されます。請書や契約書、領収書などを相手方へ交付したときは収入印紙が必要です。ただし国や地方自治体は非課税です。官公庁側が保管する契約書等は、相手方が作成しているので収入印紙が必要です。
請負契約
何かを製作する契約です。委託契約との区別は完成品の有無です。請負契約には完成品が必要になります。製造請負契約、工事請負契約などがあります。
請書(うけしょ)
契約書の作成を省略したときに提出してもらう誓約書です。通常、民間企業から官公庁へ提出する誓約書になります。契約書と異なり、相手に対して強制力は持ちません。契約金額が小さいときに請書を提出してもらいます。重要な契約であれば、契約金額が小さくても契約書を取り交わすべきです。
運営(運営経費)
利益の追求を目的としない官公庁などの活動のことです。経営は、営利を目的としている民間企業の活動に使うことが多いです。売上を増やして利益を得て、事業を拡大していくのが民間企業の経営です。しかし官公庁では自由に事業を拡大できません。官公庁が事業を拡大させてしまうと、税金が多く使われてしまいます。そのため官公庁の予算は、国会や議会が承認しています。決められた予算の中で効率的に事業を行うのが官公庁の運営です。運営に必要な費用が運営経費です。運営と経営の違いを意識しましょう。
運営費交付金
独立行政法人、国立大学法人などに対して、国が配分する運営予算です。基盤的な経費です。しかし国立大学法人などは効率化係数という制度が導入され、毎年 1 〜 2 %削減されています。国の組織から独立してから配分されるようになった予算です。
運送契約(運搬契約)
引越しなどの際に、物品などを運んでもらう契約です。役務契約になります。人件費とトラック代で積算します。
営業担当者
国や都道府県、市町村などの官公庁との契約を担当する民間企業の社員です。営業職と呼ぶことも多いです。主な仕事は、官公庁から注文を受けること、官公庁が実施する入札などへ参加して契約を獲得することです。会社の売上をアップさせることを担当する社員です。
営利企業
利益を追求する会社や個人事業主です。民間企業と同じ意味です。
営利目的
利益の獲得を目的とすることです。いわゆる「もうけ」を大きくすることです。民間企業におけるビジネスの原則です。しかし官公庁は、営利目的の活動は禁止されています。
役務(役務契約)
契約内容のほとんどが、人件費で構成されている契約です。業務従事者に何かを行ってもらう契約です。清掃契約や警備契約が該当します。官公庁が民間企業と締結する主な契約は、物品購入契約、製造契約、工事契約、役務契約です。
エコノミークラス
飛行機の座席クラスです。最上級がファーストクラス、真ん中がビジネスクラス、一番安いのがエコノミークラスです。旅費法や各組織のルールで、利用できるクラスが定められています。最上級のファーストクラスは利用できないことが多いので注意が必要です。2016年に東京都知事がファーストクラスを使用して、マスコミや国民から激しく批判されました。
応札者
入札者と同じ意味です。入札に応じる、ということから生まれた言葉です。入札者という表現の方が一般的です。一般競争入札や指名競争入札へ参加する人です。
オーバーブッキング
飛行機に乗るときに、同じシートの予約が重複することです。航空会社は、キャンセルを見越して一定数のシートを重複して予約します。オーバーブッキングのときは、上位の空席シートに乗れることがあります。
オープン価格
値引き後の金額を表示することです。1990年頃から、過度の値引き競争を防ぐ目的で始まりました。それ以前は、希望小売価格などの定価に対して〇〇%引きという価格表示が多かったです。
応用研究
製品やサービスを開発するための研究です。実用的な技術開発のための研究です。実社会で使える製品やサービスを研究します。民間企業が行う研究に多いです。基礎研究とは関係なく、全く別の研究です。基礎研究の上に応用研究があるわけではありません。
覚書
契約書ほど厳格ではない約束を文書化したものです。お互いの権利と義務を文書で取り決めておきます。ただトラブルになれば、契約書と同じように扱われます。金銭に関係ない約束のときに使うことが多いです。
か 行
海外出張(外国出張)
公務のために、日本から外国へ旅行することです。旅費として、航空賃、日当、宿泊料が支給されます。海外出張も外国出張も同じ意味です。
海外旅行傷害保険
海外出張中にケガや病気になって病院にかかったときの保険料です。任意に加入する保険なので、原則として公費では支出できません。海外旅行傷害保険へ加入するときは、事前に旅費担当者へ確認する方が安全です。
会議費
官公庁の会計手続きの中で会議費という場合は、主に飲食費を指します。懇談会やレセプションなどで飲食する経費を支払う費目です。官公庁には民間企業のような交際費がないので、会議費として支払います。
会計機関
国の場合、支出負担行為担当官、支出官、歳入徴収官、出納官吏などです。それぞれの会計機関が、官職指定されていて、定められた範囲で権限を持ちます。例えば、契約を締結する権限などが法令で細かく定められています。官公庁の内部規則で、権限と責任が明確になっています。
会計検査院
内閣から独立した検査機関です。多額の税金を使用している国の組織では、毎年実地検査が実施されます。検査結果は、不当事項などとしてマスコミに公表されます。税金が法令どおりに使われているか、無駄使いがないかなどを検査しています。
会計検査情報
株式会社 官公庁通信社 が発行していた業界紙です。会計検査院の情報や、会計実務の最新情報が掲載されていました。特に質疑応答は、実務に役立つ情報でした。平成28年3月に刊行終了です。
会計実務
契約事務、予算事務、経理事務、給与事務など、お金を扱う事務手続きのすべてを意味してます。
会計実務担当者(会計担当者)
実際に会計書類を作成する担当者です。公務員の場合、キャリア(総合職、上級職、一種)の人たちはあまり担当しません。
会計手続き
官公庁でお金を扱う事務手続きのことです。広い概念であり、この中に、契約手続き、経理手続き、給与手続きなどが含まれます。
会計年度
4月1日から翌年3月31日までの期間です。暦年は1月から12月までです。会計年度は予算の集計単位であり、ひとつの会計年度内だけで有効な予算を、単年度予算といいます。
会計年度所属区分
歳入や歳出について、どの年度に該当するか判断するための「決まり」です。年度の切り替わり時期(3月から4月にかけて)は、年度所属区分を確認しながら事務手続きを進めます。会計年度所属区分は、検収日で判断するか、期間として判断するか、に別れます。国と地方自治体では微妙に判断基準が異なります。
会計年度独立の原則
ひとつの会計年度(4月1日から翌年3月31日までの期間)内で、収入と支出の手続きを完結させ、決算を終えることです。過去の年度や将来の年度の予算は使えず、独立しているという意味です。
会計法令
会計手続きを定めた、法律、政令、省令、条例、規則など、すべての「決まり」のことです。
外国旅費(海外旅費)
外国への出張のときに支給される旅費です。出張者本人からの請求手続きにより、航空賃、日当、宿泊料が支給されます。旅費は、出発前に支給する概算払いと、出張完了後に支給する精算払いがあります。
開札
入札手続きの中で、落札者を決めるために、入札書を開封して金額を確認することです。入札者全員の前で入札金額を読み上げてから、落札したかどうか発表します。電子入札ではインターネット上で実施します。
概算払
確定金額ではなく、およその金額で事前に支払うことです。精算手続きが必要になります。前金払いは確定金額で支払うことです。
概算要求
各省庁から財務省へ予算要求することです。毎年8月頃までに要求し、12月頃に各省庁へ内示があります。その後、3月後半に国会で承認されて正式な予算になります。
概算要求事項
予算を要求するときの、実施事業の名称です。
概算要求書
予算を要求するときの、説明文書と、要求経費の積算内訳です。
外部監査
外部の人に監査をしてもらうことです。依頼して実施してもらうので、形式的なことが多いです。
外部資金
寄附金、受託研究費、受託事業費、共同研究費です。外部の企業や個人から受け入れる資金です。
価格
価格は、価値を表現した数値です。金額は数値のみです。厳密に区分せずに同じ意味で使うことが多いです。
科学技術
さまざまな定義があります。2020年現在は、産業の発展に結びつく研究という意味です。応用研究に近いです。
科学研究費補助金(科研費)
政府予算から支出される競争的資金と呼ばれる研究費です。それぞれの研究者が応募して獲得する研究費です。多くの科研費が単年度予算です。年度区分のない基金もあります。2020年現在、あまりに種類が多く複雑になりすぎて、よくわからない制度になっています。ルールも複雑すぎて不正使用が多い研究費です。
価格証明書
大量生産している製品ではなく、受注生産する製品や、新たに製造する製品などの価格を証明する書類です。その都度、価格設定しなければならない製品の価格を証明するものです。販売店ではなくメーカーが発行します。
各学部(各部局)
大学の、法学部、医学部、工学部などです。学生を教育する学部と、大学院生へ研究指導する研究所などがあります。部局自治として各学部内に教授会があり、重要事項を決定しています。
学識経験者
大学の教授など、学問分野で専門知識を持つ人です。博士号を持つ人が多いです。
科研費使用ルール
科学研究費補助金は単年度予算のため、さまざまな制約があります。科研費を使用するためのルールは、所属する組織、文部科学省、適化法(補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律)の順番で判断します。そのため組織によって使用可否の判断が異なるなど、極めて複雑な使用ルールになっています。
瑕疵担保責任
瑕疵とは、隠れたキズのことです。契約を締結した時点では、わからなかった、見えなかった不具合などの責任のことです。無償で修理したり、金銭で賠償したり、契約を解除することで解決します。2020年4月の民法改正により、契約不適合責任に変わりました。
カタログ
市販されている製品の性能が記載されています。定価が掲載されているものもあります。官公庁の契約実務では、機種を選定するときに必須の資料です。カタログが作成されている製品を、カタログ製品と呼びます。メーカーが大量生産している製品にはカタログがあります。
学会
同一分野の研究者が集まる学術団体です。会費で運営されていて、研究成果を公表する場です。学会誌として論文を掲載しています。
合算使用
科学研究費補助金で禁止されている使用方法です。科学研究費補助金は、研究課題(研究目的)が限定されています。特定の研究課題を遂行するための研究費なので、他の研究費との合算使用が原則として禁止されています。ただし合算使用の例外があり、内訳を明確に区分できる場合などは使用が認められています。
過年度支出
会計年度を超えて支出することです。過去の会計年度の経費を支出する場合を指します。官公庁の予算は、4月から翌年3月までの単年度予算が原則です。ひとつの会計年度内のみで有効です。そして支出期限は、国の場合は翌年度の4月30日まで、地方自治体は翌年度の5月31日までです。この期限を過ぎて支出するときは、過年度支出という例外手続きになります。
官給品
工事契約や製造契約、役務契約のときに、官公庁側が用意してある物品を支給することです。材料や消耗品などが多いです。官公庁が直接購入した方が安い場合や、一定の品質の材料を使うときなどに官給品を支給します。
官公庁
国と地方自治体を意味しています。国、都道府県、市町村などです。いずれも税金で運営されるために、国会や議会が予算を決めています。
監査
大きく分けて内部監査と外部監査があります。内部監査は、組織内に設置して、過去の事務処理等を定期的にチェックし、将来的な改善に役立てるものです。外部監査は、組織外の人が事務処理等をチェックし、ルール違反などを指摘するものです。監査は、検査よりも広い視野でチェックします。本来的には、内部監査こそが組織を改善していく最良の方法です。組織のことを十分に理解していないとチェックできません。ただ内部監査を実施するときに注意すべきことは、過去を批判することではないという点です。過去を批判しても何も生まれません。将来に向かって改善していく姿勢が内部監査では最も重要です。一方の外部監査は、外部評価のように対外的なアピールとしての形式的な役割がほとんどです。外部監査は、表面的なことをチェックするだけです。
官職指定
局長、部長、課長などのポストへ、特定の職務を割り当てることです。責任を伴うため管理職手当が支給されている上位のポストが多いです。支出負担行為担当官などの会計機関は官職指定されています。
官製談合
官公庁側が主導して談合を行わせることです。入札を装い価格を調整して、あらかじめ指定した会社に落札させることです。予定価格漏洩や贈収賄事件が背後に隠れていることが多いです。「入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律」違反です。
間接経費(オーバーヘッド)
競争的資金として獲得した研究費の中に、一定割合(10%〜30%)の経費が、組織として使用できるよう配分されます。管理部門の光熱水料など、共通的な経費に使用できます。研究者が直接使う研究費に対して、組織が共通的に使うのが間接経費です。
官報
政府が発行する広報誌(公告文書)です。法律の公布や国際入札の公告、破産者など重要な内容を国民へ知らせる文書です。独立行政法人国立印刷局(昔の大蔵省印刷局)が発行しています。新聞のように毎日発行されます。直近30日分は、インターネットで全て無料で閲覧できます。
官用車
官公庁が所有する車です。1980年代中頃までは、どの組織でも官用車と専属の運転手が当たり前でした。その後、定員削減のために運転手のポストは徐々に削減され、多くの官用車がタクシー利用へと切り替えられました。2020年現在は、かなり上位の役職(局長クラス)のみ官用車を所有しています。官用車利用を伴う旅費の支給では、日当が減額調整されます。
幹部職員
管理職手当が支給される課長や部長、局長などです。超過勤務手当は支給されません。幹部職員の役割は、主に人事管理です。幹部職員が所掌する組織の機能が十分に発揮されるよう、人事異動を行うのが本来の仕事です。みんなが気持ち良く積極的に働ける環境を作るのが幹部職員の役割です。
完了検査(検収)
物品が納品されたときの納品検査、工事契約の竣工検査、製造契約の完成検査、役務契約の完了検査など、契約の履行が完了したことを確認するための検査です。契約内容どおりに履行されたかを、契約書に基づいて確認します。検収は検査収納のことで、納品検査を完了した後に所有権が官公庁側に移転して収納することを表しています。
完了通知書(納品書)
物品購入契約では、納品されたときに納品書を受け取ります。工事契約、製造契約、役務契約では、納品書ではなく竣工通知書や完了通知書を受け取ります。役務契約のときに完了通知書を受け取ります。検収に必須の書類なので、契約代金を支払うときの重要な書類です。
起案日
決裁文書を最初に回すときの日付です。原議書(起案用紙、稟議書、かがみ)には、決裁を受けるための決裁欄があります。決裁を受けるときに「いつ作成したか」を明確にするために起案日を記入します。起案日は承認の可否にも影響するので、とても重要な日付です。通常は、実際に原議書を回し始めるときです。しかし、大きな案件になると関係資料も数センチの厚さになります。補足するための参考資料を集めるために時間がかかってしまうこともあります。そのときは、起案日を遡ることもあります。起案日によって決裁内容の判断が変わることもあり、重要な日付です。
議会
選挙によって選ばれた議員で構成される地方自治体の会議です。都議会や県議会などがあります。条例や規則などを決定する権限があります。国の場合は国会ですが、広い意味では国会も議会に含めることもあります。
議決
議会で、賛成か反対か決めることです。議会のルールによって案件ごとに、何割以上で決定すると事前に決められています。
機関
公的機関、研究機関、会計機関などと使われることが多いです。機関は一定の目的を実施するための組織です。組織は人の集まり、集団を意味しますが、さらに目的や役割を明確にした組織を表現するために機関が使われます。
機関経理
会計手続きを、組織として行うことです。つまり官公庁における通常の経理手続きです。機関経理に対して個人経理があります。昔の科学研究費補助金には、いくつかの種目で個人経理がありました。個人経理は、組織を通さずに研究者ひとりで会計処理ができてしまいます。領収書を一枚保存するだけで、数百万円の研究費を自由に使うことができました。そのせいか不適切な会計手続きが横行し、個人経理が廃止され、今では機関経理のみになりました。
企業会計原則
民間企業が、会計処理を行うときの基準です。法律のような強制力はありません。しかし会社法などでは、「一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に従うもの」と定められています。財務諸表を作成するときの判断基準です。複式簿記の基本的な指針です。
機種選定理由書
特定のメーカー、特定の機種を選んで契約手続きを行うことです。 一般競争入札では、競争性を確保するために、特定のメーカーや機種を指定しないことが原則です。そのため特定の機種を選定する場合には、なぜ選んだのかを説明するための理由書が必要です。 ただし特定の機種を選んでも、販売店が多数存在することもあります。販売店が複数存在するのであれば入札や見積もり合わせになります。機種選定だけでは、競争性のない随意契約になりません。
擬制的
事実が異なっていたとしても、事実があったと推定することです。例えば、新聞の検収日について、休日にも配達されていると推定することです。3月31日が休日のときに、新聞が届いていることを確認するためだけに休日出勤することは税金の無駄使いです。新聞は毎日届けられているのが一般常識なので、その場合には実際に目で見て確認したのが4月だとしても、検収日を3月31日の休日として支払い手続きする方が効率的です。休日に勤務していなくても擬制的に検収日とします。
規則
官公庁の組織内で定めた決まり(ルール)です。内部規則などは対象が限定されます。法律を実施するための細かい部分を定めていることが多いです 。
基礎研究
真理を探求するための研究です。未知なる課題を解決することを目的にしています。将来的に実用化できるかわからない、研究成果が見えないものが基礎研究です。応用研究の前段階ではありません。応用研究とは関係ない研究です。応用研究は、実際に社会で使えるように実用化するための研究です。
規程(規定)
規程は、各条文から構成されます。規定は、ひとつの条文を指します。規定が集まったものが規程です。発音が同じなので紛らわしいですが、書くときは間違いないようにしましょう。
寄託契約
物品などを誰かに預けることです。多い例としては、大きな物品を倉庫に預ける契約です。温度や湿度などの保存環境が特殊なために預けることもあります。不可抗力(火事や地震、台風、盗難など)のときの責任の範囲について契約書に明記することになります。責任が大きくなると契約金額も比例して高くなります。
基盤研究
いろいろな研究分野の土台となる研究です。基礎研究の分野でも、さまざまな研究テーマがあります。それらの研究を進めるための共通的な基盤となる研究です。例えば理系の研究では、数学や物理、コンピュータによるデータ解析に関する研究は、多くの分野に共通する基盤研究です。
寄附金
国立大学に対する寄附金です。一般的には官公庁に対する寄附金は禁止されていますが、国立大学については、過去の経緯から国立学校特別会計法に基づき寄附金の受け入れが認められてきました。大学の教員個人への寄附金についても、大学として経費を管理することになっています。
客観的(主観的)
主観的の反対を意味します。主観的とは、自分の感情や気持ちを優先して判断することです。反対に客観的とは、ある事実に基づいて判断することです。誰もが理解できる事実に基づき、自分の感情を入れずに判断することです。ほとんどの人が同じように考えて判断することを意味します。
旧年度
過去の会計年度のことです。4月になって新年度に入ったときに、3月までの前年度のことを指すことが多いです。
給付(給付の完了の確認)
何かを行うことです。契約であれば、履行する(約束どおりに行う)ことです。法律の条文でよく使われます。「給付の完了の確認」は、契約どおりに履行されたことを確認することです。
給与(給料)
厳密に区分すると、給与の中には、基本給の他に各種の手当が含まれています。給料は基本給だけです。給与 = 給料 + 各種手当 です。しかしほとんどのケースでは同じ意味で使っています。
教育
学部学生や大学院生、研修生などへ教えることです。授業を受けて単位を取り、試験に合格すれば卒業証書が授与されます。一定のカリキュラムで行われ、学力を判定するための中間試験や期末試験があります。
教員
学生への教育を担当する、教授、准教授、講師、助教などです。教員は自分自身の研究も行っています。研究者としての立場も持っています。大学の教員 = 研究者 です。研究を行いながら教育を担当します。質の高い教育をするためには研究が必須です。
業者
官公庁と取引のある民間企業です。官公庁側が契約代金を支払う民間企業のことです。民間企業側から見ると、お得意様に該当する関係のときに業者と呼びます。
業者選定理由書
競争性のない随意契約を締結するときに必要な書類です。契約手続きの基本原則は一般競争入札ですが、契約の相手方が一社しかないときは、 競争性のない随意契約になります。契約しようとするときには、それを証明する業者選定理由書を添付して決裁手続きが必要になります。 なぜ、その会社を選定したかを証明する理由書です。
教職員
教員と職員のことです。教員は、学生を教える教授、准教授、講師、助教です。この他に研究員などもいます。職員は、事務職として書類手続きを担当する人たちです。教員は研究職、職員は事務職です。この両方を教職員と呼びます。学生を除く管理運営する人たちです。学生を含むときは構成員と呼びます。大学の構成員 = 教職員 + 学生 です。
教授(准教授、講師、助教)
教授は、大学で学生に授業を教える人たちです。 教授として採用されるためには、教授会で研究業績を認められなければなりません。研究歴や査読付き論文の数、学会や公的機関での受賞歴、大学での公的活動等の経歴で判断されます。 2020年現在の国立大学では、教授の年収がおよそ1200万円、准教授、講師はおよそ900万円、助教はおよそ500万円です。年収は、日本の大手企業より少し低いです。
教授会
大学の学部・研究所等の最高意思決定機関です。教授で構成され、学部等での重要な運営方針を決定します。教授、准教授、講師などの採用人事、 学生への教育カリキュラム、研究プロジェクト、概算要求の方針、予算の配分方法などを決定します。月に1〜2回開催されます。2018年頃から、ほとんどの国立大学で教授会の議事要旨を公開しています。
競争参加資格(入札参加資格)
一般競争入札へ参加するための資格です。国の場合は、全省庁統一資格として定められています。地方自治体の場合は、それぞれで定めています。事前に資格審査を行う目的は、悪質な会社、不良会社を排除するためです。通常の会社なら、書類を提出すれば資格が認定されます。
競争的資金
応募して審査で認められる研究費です。代表的なものは科学研究費補助金です。しかし短期間で研究成果を求められたり、若い研究者が獲得できなかったり、安定した研究費ではありません。多くの研究費が単年度会計のため、無理に使おうとして不正経理の温床にもなっています。デメリットばかりが目立ち、研究費獲得のための申請書作成業務などに研究時間が削られ大きな問題にもなってます。研究費獲得のための競争制度です。
競争入札
競争契約や、単に入札ともいいます。不特定多数の参加者による一般競争入札と、あらかじめ数社に限定した指名競争入札があります。官公庁が契約の相手方を選ぶ契約方式の原則は、一般競争入札です。
共同研究契約
官公庁や国立大学と民間企業が、一緒に研究することです。研究テーマを設定して、研究費を分担して実施します。研究成果に基づく特許出願時の取り決めなども契約書の中で定めます。正式に共同研究契約書を取り交わすことで、「特定企業との癒着」ではなくなります。間違えやすいのは、研究者同士が一緒に行う共同研究とは異なるところです。
虚偽
相手を騙すこと、第三者を騙すことです。ウソを言ったり、事実と違うことを書いて、真実のように思わせることです。官公庁では、すぐに犯罪になります。書類の作成ミスや間違いは、騙す意図はないので虚偽にはなりません。
業務委託契約
何かの業務を実施してもらう契約です。民法上の準委任契約です。請負契約のような成果物は必須ではありません。工事請負契約では完成した道路や建築物などの成果物が必須です。しかし業務委託契約では成果物は必要なく、何かを行ってもらったことに対して契約代金を支払います。
金額
数値を意味します。価値を表現する「価格」と同じ意味で使われることが多いです。
緊急随契
緊急性に基づく随意契約ともいい、官公庁の契約方式のひとつです。入札手続きを実施すると間に合わないような緊急性があるときに締結する随意契約です。天災地変等自然災害の場合に適用できます。台風や地震、暴風雨などによって、家がなくなったり、河川の氾濫で堤防が壊れそうだったり、山崩れが起きそうな場合に適用します。人命と財産を守るために緊急に実施しなければならない契約です。当然ながら、多くの人が「やむを得ない」と納得できる客観的な事実や状況の存在が前提になります。誰もが「すぐに契約しないとまずい」と考える状況のときに適用すべき契約方式です。国の場合は、予算決算及び会計令 第百二条の四 第三号、地方自治体の場合は、地方自治法施行令 第百六十七条の二 第一項 第五号が根拠法令です。
勤務時間管理員
超過勤務(残業)時間などの集計を担当する勤務時間管理担当者です。給与計算に必要なデータを作成します。人事院規則で定められています。過度な労働を防止することも目的のひとつです。庶務担当や人事担当の係長クラスが指定されていることが多いです。過度な超過勤務が判明したときは、課長や部長などの人事管理の責任者へ報告し、上司や本人へ注意してもらうことになります。人事システムが導入されているところでは、幹部職員が常に部下の労働時間を把握しています。
限定列挙
法律や規則の中で、定められていることだけに適用されることです。列挙していることに限定するという意味です。拡大解釈や類推解釈は認められません。条文の中で「・・に限る。」と表現されています。
国
各省庁等の組織です。衆議院、参議院、最高裁判所、会計検査院、内閣、人事院、内閣府、復興庁、宮内庁、公正取引委員会、国家公安委員会(警察庁)、個人情報保護委員会、カジノ管理委員会、金融庁、消費者庁、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、防衛省。内部部局を含みます。会計法の適用を受ける組織です。
経常経費
毎年、決まって必要になる経費です。 人件費や光熱水料、事務用消耗品などです。 何もしなくても出ていくお金です。
経常予算
通常の運営予算です。人件費など、毎年必要になる最低限の活動予算です。 経常経費に加えて、組織本来の活動に必要な予算です。
継続費
複数年度にわたって支出が可能になる予算です。 単年度予算の例外になるので国会の議決が必要です。5年以内の工事や製造契約が多いです。国の場合、 国庫債務負担行為は、複数年度の債務負担のみ可能です。つまり契約の権限だけが与えられますが、継続費は 債務負担とあわせて支出まで可能です。
契約締結伺い
契約を締結するための起案文書です。契約実務担当者が作成して、支出負担行為担当官などの契約権限のある役職までの決裁(承認)を受けます。係長、課長補佐、課長などの上司が、会計法令などのルールに基づいて事務処理が進められているか確認し、決裁印を押します。決裁が承認された後に正式に契約します。
契約形態(契約の種類)
売買契約、製造契約、工事契約、請負契約、役務契約、売払契約などの形態別の分類です。
契約締結権限
契約を締結する権限のことです。法人の場合は、トップの代表者が契約権限を持ちます。国の場合は各省庁の大臣、地方自治体では知事や市町村長です。株式会社の場合は、代表取締役社長です。契約は、当事者同士の意思の合意なので、人間にしかできません。法人の代表者が契約権限を持ちます。実際の契約手続きでは、委任状に基づいて営業担当者が担当することが多いです。
契約実績一覧
納入実績一覧ともいいます。値引率を確認するときに使うデータです。過去に実際に契約した実績一覧表です。契約年月日、納入場所、契約件名、契約金額、定価等の一覧です。官公庁との取引実績を見ることで信頼性を確認することができます。
契約書案文
当事者同士で合意した内容を、書面にしたものです。決裁完了後に当事者同士が記名押印します。官公庁が締結する契約書は、書式が定められていることが多いです。通常、組織の長が、契約を締結する権限を持っています。そのため契約実務担当者が、契約書の案文を作成し、決裁手続きによって、組織の長の承認を受けます。正式な契約書を取り交わす前の書類が、契約書の案文です。
契約実務
契約事務と表現することもあります。官公庁の会計実務の中で、入札を実施したり、随意契約を締結するなどの契約を行う仕事です。実務という場合は、実際に書類を集めたり、作成することです。事務は書類手続き全体を指し、その中で実際に特定の事務処理を行うことを実務といいます。実際に契約を担当していた人は、契約実務経験者といいます。
契約成立日
日本の民法では、当事者同士の合意のみで契約が成立します。 合意した日が、契約日です。契約書や覚書などの文書の取り交わしは必要ありません。 口頭の約束だけで契約が成立します。ただし官公庁の金額の大きな契約では、契約書に記名押印しなければ契約が確定しません。 契約成立日は、正式に発注した日、あるいは落札決定した日です。
契約担当官
国の会計機関のひとつです。支出負担行為担当官が所掌する契約事務以外を担当します。売り払い契約などが該当します。
契約担当係
官公庁の契約担当者は、定期的に人事異動します。おおむね3年以内で異動します。これは、業者との癒着などの不正を未然に防止するためです。契約を担当する係は、通常、契約係、調達係、用度係、会計係、総務係などです。組織の大きさや配置されている人数によって担当係名が異なります。昔の官公庁は人員も多かったせいか、「掛」という文字を使っていたのです。会計掛、契約掛などと表現していました。「掛」の方が、より専門的な仕事内容を意味していましたが、定員削減や事務処理のコンピューター化によって徐々に「係」へと変わってきました。
契約手続き
官公庁が民間企業と契約を締結するときは、会計法令に基づいて手続きを進めなければなりません。見積書を取り寄せたり、入札を実施したり、契約書を取り交わしたり、納品時には検査して調書を作成します。これら一連の書類手続きです。税金を使って契約代金を支払っているので、どのように契約したのかを示す対外的な説明資料の作成、証拠書類の保存が必須です。
契約の相手方
官公庁が契約を締結するときの相手方、つまり契約の当事者です。官公庁が契約の相手方を選ぶときは、公平・公正でなければなりません。原則は一般競争入札です。誰もが入札へ参加できる公平性、入札手続きのひとつひとつが法令に基づいている公正性が重要になります。
契約の種類
契約の内容で区分した契約形態です。主なものは、物品購入契約、製造契約、工事契約、役務契約です。この他にも保守契約、委託契約などがあります。
契約不履行
相手方が、約束した契約を行わないことです。通常、違約金の支払いと損害賠償請求の対象になります。ただし損害賠償請求を行う場合は、契約書の中にその旨を明記しておかなければなりません。 違約金を超えた損害が発生したときは別に請求できる、などの記載が必要です。
契約変更
既に締結した契約を変更することです。官公庁では、変更契約が可能なケースは限られています。契約の相手方に責任がなく、官公庁側に有利な内容であれば変更が可能です。ただし、契約を変更することによって、新たに入札手続きが必要になる場合は、入札を実施しなければなりません。
契約方式
官公庁が民間企業と契約を締結するときに、契約の相手方を選ぶ手続きのことです。契約の相手方を選ぶための手続きは、「契約方式」として会計法令で定められています。国は、会計法 第二十九条の三 第一項、地方自治体は、地方自治法 第二百三十四条 第二項です。
契約保証金
契約内容を履行させるための保証金です。 契約内容を履行しないときには返還しません。 ただ国が実施する入札では、全省庁統一資格を参加条件にするので、契約保証金は免除になります。また随意契約の場合にも契約保証金を免除することがほとんどです。 信頼できる相手方であれば、契約保証金を預かる必要はありません。
決裁
官公庁が正式に意思決定するための手続きです。書類を作成した担当係員が、局長や部長などの最終責任者までの承認を受ける手続きです。原議書などの起案文書の決裁欄に、承認した旨の押印を受けます。承認のための押印を受けるのが決裁手続きです。2020年からは新型コロナウイルスの感染予防のために在宅勤務が推奨され、押印が廃止されたり電子決裁へ移行したりしています。また間接的に関係する他の部署への合議(あいぎ)が必要になることもあります。重要な案件になると、決裁が完了するまでに半年以上かかります。
原価計算方式
予定価格を作成するときの積算方式です 。人件費、材料費、諸経費から積算します。 簿記で使う原価計算は、特定の会社の製品の販売価格を決定するための原価を計算するもので、まったく異なります。
研究
真理(ほんとうのこと)の探求です。未解決の課題を追求することです。何かを深く考え、調べ、論文にまとめます。論文として研究成果を公表することが研究者の責務です。実用化に関係ない研究を「基礎研究」といいます。民間企業の研究者が、製品を開発するために行う研究は「応用研究」といいます。基礎研究と応用研究は、全く別の研究です。基礎研究が発展して応用研究になるわけではありません。国立大学の研究者の多くは基礎研究を実施しています。
研究者
教授、准教授、講師、助教、研究員などの人たちです。学生を教えるだけでなく、自分自身の研究も行っています。事務職員の採用は筆記試験によりますが、研究者の採用は論文によります。論文の評価で採用が決定します。大学における教育と研究は一体のものです。まれに学生教育を担当しない研究者もいます。その場合は研究員という立場になります。研究者の使命は、論文を書いて学会などで公表することです。
研究成果
解決されてない課題について、新しいことを見つけたときに、論文として結果をまとめることです。 査読付き論文や、学会で論文を発表することで、研究成果が認められることになります。 自然科学系の研究成果は、特許技術に発展することが多いです。 「研究成果=特許」とも言えます。
研究費
研究に必要な経費です。消耗品、備品、旅費、人件費、謝金などです。競争的資金は、研究目的が限定されています。
研究目的
未解決の課題のことです。まだ見つかってないこと、わからないことです。何かを解明することです。
検査職員
契約が履行されたときに、履行内容を検査する職員です。例えば、物品の購入契約であれば納品したときに関係者が集まって納品検査を行います。工事契約であれば、道路や建物が完成したときに竣工検査を行います。製造契約であれば製造物が完成したときに検査を行います。 検査の方法は、契約書と仕様書に基づいて現物をチェックします。完了時の検査のことを検収(検査収納)といいます。検収を行うときは必ず契約当事者が集まって行います。もし不備が見つかったときに相手方が立ち会っていないと、責任の所在がわからなくなってしまうからです。
検査調書
契約が履行された際に行う検査内容を、調書としてまとめたものです。 例えば物品購入契約であれば、品名、型式、数量、納品場所などを確認し、その内容を検査調書として作成します。誰が、いつ、何を確認したか記載した書面です。
検収
検査、給付の完了の確認、納品検査などともいいます。契約が約束どおりに実施されたか確認することです。官公庁側へ物品が納品されたとき、製品が完成したときなどに、検査職員が契約関係書類に基づいて確認します。
源泉徴収
給与や謝金を支払うときに、所得税を天引きすることです。所得税法では、支払う側に税金の徴収を義務付けています。
件名
件名とは、ひとつの事案を示す「手続きの名称」です。例えば契約件名は、特定の契約手続きを示しています。多数の契約を進めていると、いろいろな見積書が毎日提出されます。件名が書いてないと、どの契約の見積書なのかわからなくなってしまいます。書類を識別するためには、件名が必須です。もし件名を間違えて記載していると、どの書類か不明になり混乱してしまいます。一般競争入札では、件名を間違えると無効になります。
項、号
法律の条文の構成です。項の下に号があります。号は、項から1文字分字下げしてあります。算用数字が項で、漢数字が号の条文が多いです。項と号が混ざった「予算決算及び会計令 第百条の二」を見ると、文字の位置が変えてあることがわかります。条文の項と号を把握するのが条文を理解するコツでもあります。
公印
官公庁の組織や役職を証明する印鑑です。組織の長、部長、課長、事務長、支出負担行為担当官などが、正式に発行した文書であることを証明するものです。公印は官職を表すので、印鑑には個人名は記載されていません。◯◯長の印、◯◯部長の印と表記されています。公印は、朱肉を使って押印します。朱肉でないと数年で消えてしまいます。日付印などを押すインクのスタンプ台を使ってはいけません。
講演
研究会や討論会、セミナーやシンポジウムを開催するときに、特定のテーマについて話すことです。講師に対する謝礼を、講演謝金や講演料として支払うことが多いです。謝礼を支払うときは、「報酬・料金等」として所得税を源泉徴収するのが原則です。
公開入札
一般競争入札、一般競争契約ともいいます。入札公告を公開し、不特定多数が参加できる入札です。
交際費
官公庁の会計実務で使用する交際費は、税法上とは異なります。予算科目として計上されるものです。組織の長など、一部の人にしか認められない予算です。予算の中で正式に交際費が認められていれば接待目的で使うことも可能です。多くの公務員には関係ない予算です。
工事契約
建築工事、電気工事、設備工事などです。建設業法に基づく許可が必要な工事です。建物や道路などの工事は、一定の品質が要求されるので資格のある会社しか施工できません。
公私混同
仕事とプライベートの区別がつかないこと。特に官公庁は、国民の税金で運営されているため、プライベートなことにまで税金を使うことは許されません。 法律で明確に定めてないことや、多くの人がおかしいと思う倫理面から問題になることが多いです。
公正
多くの人たちが疑問を持たず、正しいと感じることです。公正さの判断は、暮らす場所や時代とともに変わります。官公庁の事務手続きでは、法令と予算に基づく場合のみが公正と認められます。よく使われる例えとして、時間給の比較があります。AさんとBさんの時間給が500円の場合、ふたりは平等だけれど、あまりにも時間給が安く最低賃金法にも違反しているので公正ではありません。
公的組織
国、地方自治体、独立行政法人、国立大学法人など、運営財源に税金を使用する組織のことです。
購入契約
物品購入契約や売買契約ともいいます。市販されている製品を購入する契約です。製造メーカーが大量生産して販売するカタログ製品を購入する契約です。
購入実績の照会
過去に締結した契約実績の照会です。値引率を調査するための照会文書です。照会のあった購入物品について、購入当時の見積書、契約書、定価表などを添えて回答します。注意が必要なのは、秘密扱いの予定価格は回答文書に含めないことです。官公庁同士でも予定価格については秘密扱いにした方が安全です。
公費
国費ともいいます。国民の税金を意味します。法人化前の国立大学には、校費という予算があり、同じ発音のため紛らわしかったです。いずれも国民の税金のことです。
公文書
官公庁が、組織として使用する文書です。決裁を終えた後に通知する文書だけでなく、経緯のわかる決裁文書など、意思決定に至るまでの判断や経緯が記載された一連の文書です。内部規則で保存年限が決められています。 決裁が終わった後は、いかなる理由があっても書き換えできません。
公平
多くの人が平等と感じることです。平等よりも、いろいろなことを広く考えて判断します。平等は部分的な比較です。特定の相手を有利に扱うなどの不公平がないこと、えこひいきしないことです。
公務
公務員の仕事すべてを指します。国家公務員であれば国民全体のための仕事、地方公務員であれば、その地方の人たちのための仕事です。国や地方自治体が行うべき仕事です。 民間企業が参入できない、採算の合わない仕事になります。
公務員
国家公務員、地方公務員すべてを意味します。官公庁に勤務する人たちです。非常勤の人たちも含まれます。国家公務員と地方公務員の違いは、対象となる行政サービスの範囲です。サービスの範囲によって仕事の内容も変わります。
公用車
官公庁が所有する車です。1980年頃までは多くの官公庁に公用車と専属運転手が配置されていたのです。しかし公務員の定員削減に伴い、徐々に運転手の後任補充がなくなり、タクシー利用へと切り替えられ減少してきました。公用車のメリットは、スケジュールに沿って正確に移動が可能なこと、重要な打ち合わせも車内でできること、タクシーが走っていないような地域でも安全に移動できるなどのメリットがありました。役職の高い公務員になると、毎日が分刻みのスケジュールになるため必須です。
国庫債務負担行為
複数年度にわたる契約を締結する債務負担を可能とするものです。単年度会計の例外になり、国の場合は国会の議決が必要です。支払いが必要なときは、あらためて歳出予算へ計上する必要があります。支出までは認められていません。 単年度で実施できない工事や、大規模なシステム開発が該当します。地方自治体の場合も債務負担行為として同様の制度があります。
国際入札
英文の入札公告を官報に掲載して、外国の企業が入札へ参加できるようにする手続きです。一般の入札に比べて、機種指定が禁止されていたり、入札の公告期間が長期になるなど手続きが煩雑です。また郵便による入札を禁止できないなどの制限もあります。大規模な契約に適用される入札です。政府調達契約、特定調達契約、特例政令などと呼ぶこともあります。
国内旅行
日本国内の旅行です。内国旅行は、外国旅行に対して用いられています。国内旅行も内国旅行も同じです。
国費
国のお金、国の予算という意味です。通常は、国民の税金のことです。
国立大学法人化
2004(平成16)年4月から、国立大学は国の組織ではなくなりました。教職員も国家公務員でなくなり団体職員になりました。公務員の定員削減を実施するために国立大学を法人化して国の組織から切り離したのです。1999(平成11)年から法人化への検討が開始されました。当時の文部大臣は、元東京大学総長の有馬先生でした。その後2001年には、文部省のキャリア官僚だった遠山敦子氏が文部科学大臣に就任しています。国立大学法人化に反対する人たちに対して、有馬大臣によって教員たちを説得し、遠山大臣によって事務方を説得したと言われてます。特に遠山大臣は、若いときから文部省内での人気が圧倒的で、あらゆる人を魅了してしまう人柄でした。
個人経理
組織としての会計経理は行わず、個人的に経理することです。2020年現在、公的組織では原則的に禁止されています。1980年頃までは、科学研究費補助金の一部などが個人経理でした。研究者個人が、研究費の支払いを自由に行うことができました。自分で銀行の通帳を作成し、領収書を保存するだけで支払うことができてしまうため、不明瞭で怪しい経理が多数見受けられるようになり廃止されました。
固定宿泊施設
旅費を支払うときの宿泊料の区分の一つです。一般的なホテルや旅館などを固定宿泊施設といいます。固定宿泊施設に宿泊しない場合とは、野外実習等でテントに泊まったり、徹夜で実験やデータ収集することです。
根拠法令
手続きの基になる法令です。財政法、会計法、予算決算及び会計令、地方自治法、地方自治法施行令などです。各組織で定めた規則も含みます。法令や規則などのルールに基づく手続きが官公庁では求められています。
懇親会費
親睦を深めるための飲食費です。ビールや日本酒、ウィスキーやワインなどのアルコール類を含むため、官公庁では原則として認められていません。ただし、外国人招待客の歓迎レセプションやセレモニーなどの公式行事では、懇親会費の支出を認めることがあります。
懇談会費
専門家の意見交換などで開催されます。特定のテーマを議論する会議で、弁当代やお茶代を支出することが多いです。懇談会は、みんなで楽しくワイワイガヤガヤと開催する懇親会とは違います。懇談会は職場の会議室で行われ、アルコール類を伴わないものです。
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